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ティナは半袖の襟の付いた薄い黄色のワンピースを着て食堂へ向かった。入り口ではトニーがいて、おはようと挨拶をして剣を預けた。中に入ってみるともうケインが座っていた。遅くなったことを謝ってから、あいさつをして自分の席に座った。朝食は軽く焦げ目のついたトースト、レタスとトマトのサラダ、コーンスープ、デザートはバナナのヨーグルト和えが並べてあった。ティナの前にケインがいて両側に国王と王妃が座って食べていた。食べた後トニーが国王に今日の日程を話しているとティナ達はくつろいでいた。そのくつろぎを一瞬で緊張に変える声が聞こえた。
「お食事中失礼いたします。ティナ様捕獲隊に召集命令がかかっております。急いで中庭に集まっていただくようよろしくお願いします。それでは失礼しました」
兵士はそう言って、戸を閉めた。
ティナ十四歳。この年、捕獲隊というものが作られ盗賊などを捕らえる事をしている。そして、ティナは自分から捕獲隊に入りたいと国王に告げ、国王は躊躇いもなく許可をした。
連絡を受けた後、ティナは立ち上がって、トニーに預けた剣を渡してもらった。ワンピースのまま行こうとしたが、トニーに止められた。
「ティナ様、急いでいるのは分かりますが、肌を出したままでは危ないですよ。薄い上着でいいですから長袖の物を着ていってください」
「ありがとう」
ティナはトニーが渡してくれた上着を快く着た。そして国王から気をつけてなと言われ、行ってきますと言い中庭に急いだ。
中庭に行くとほとんどの者がいた。七割ほど男性だが女性もいる。ティナにとっても心強い。服は皆楽な格好で、重たい鎧などを着ている者はいなかったが、最低限自分の体を守るものを付けていた。ティナの格好はずば抜けて他の者と違っていた。これから何かあるという時にスカートで来ているものだから大変だ。ティナが中庭に着いてから、数分後隊長ことノーマ・ラグナスが出てきた。
「召集命令をかけたのは他でもない。今我々の中で有名になっている盗賊のレオン・ルシタール率いるシルバームーンの事だ。先ほど情報が入って奴らが動き出すそうだ。詳しいことは紙に書いてある。今から配るから見てくれ」
前から回ってきた紙を受け取った。すぐにノーマが話しだしたので、目線を紙からノーマへと移した。
「シルバームーンは盗賊と言われているか盗まれた物はなく何か他の目的で動いているらしい。動き出すのは今日に夕方の森にて。それぐらいの情報しかない。そこで各班に分かれて行動するように。以上、解散!!」
そう言ってノーマは人ごみの中に紛れてしまった。班というのは三人から五人で構成されていて、ほとんどが同じ使いの者と一緒になる。ティナは三人の班で皆女子であり魔法使い。イシズ・ファーマは最年長の十九歳で黒髪、長く後ろでポニーテールに結んでいた。ティナよりも背が高くスタイルも良かった。ライカ・サッシュは十五歳。ヒマワリのような鮮やかなオレンジ色髪の肩より上の短めの長さ。元気が取り柄の女の子である。ティナが最年少。三人は時間も少しあるため町を抜けてから森へ行くことにした。この後、どうなるか皆分からずに。