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流青  作者: 晋螺
2/5

其の壱 夢か現実か

初めまして、晋螺といいます。生まれて初めて書いた小説なので、誤字、脱字があると思います。まだまだ甘いところがあるので、アドバイスや感想がありましたら是非とも、よろしくお願いします。


(どこだ?ここ...)

本城昴は頭上の青空、足元の草原を見て絶句していた。



(あれ?確か昨日はいつも通り学校行って、友達弄って、遊びながら帰ってきて...――)

昨日の自分の行動を思い出しながら考えているとどこからか声が聞こえた気がした。

「ん?誰かいんのか?」

声のする方に顔を向けてみると、着物を着た小さい女の子が声を上げながらこちらに走ってきていた。

「父上ー、父上ー」

「おっ!こっち来るっぽいなあの女の子。ここがどこだか聞けっかな?つーか、着物とかいつの時代?七五三とかか?」

昴がのん気なことを考えてるうちにその女の子は昴にぶつかりそうなほどに近づいていた。

「えっ、ちょっ、待って待って、スト――ップ!!」

だめだ、ぶつかると思い身を屈め、女の子を支えられる体制にする。

そして、ちびっ子のタックル程度でへたばる俺じゃねぇと意気込み衝撃に備えた。


しかし、そんな衝撃などこなかった...だが、別の意味での衝撃が昴を襲う。

昴にぶつかろうとしていた女の子が通り抜けたのだった。


「―っ!?」

「父上ー、どこに居られますかー?」


まるで、そこには誰も存在しないように...


(はっ!?いやいやいや、待て待て、落ち着け自分。何があったか冷静になって考えてみろ。

とりあえずわかってんのは、こっちからは見えるけど、あの女の子からは見えない...って、透明人間かよ!!)

マジか...と思わず昴は膝から崩れ落ちた。

「どーすんだよ、コレ...元に戻れんのかよ...はぁ~、一応草は触れるみたいだけど、あんまし、意味なくね?」

ますます昴のテンションが下がり、どす黒いオーラが漂い始めたとき視界の端にあの女の子が写った。

「父上ー...あっ、父上!」

女の子を追って見てみると、小高い丘の木の下にガタイのいい腰に刀を差した男の人が立っていた。

「どうした?__。そんなに急ぐと転ぶぞ?」

「父上!あのね...__ 」


(あれ?あの男の人も着物着てる。今日はなんか祭りでもやんのかな?だとしても、何故に腰に刀?コスプレか?)

などと昴が考えていると、妙な浮遊感と激しい頭痛に襲われた。

「――っつぅ...」

ガンガンと打ち付けられるかのような痛みに耐えながら、あの親子に目をやった。

すると、昴の体は丘にあった木よりも高いところまで浮かんでいた。

「なっ!?...い゛っつ...な、んで、うか、はっ...んでんだ、よ...」

背中や額からは大量に冷や汗が流れていった。だんだん意識が朦朧とするなか、昴が最後に見たのは...



女の子の父親に背後から斬りかかろうとしている、複数の刺客だった...



 * * * * * * 


「――ぃ。お―――さ、い」

「待てっっ!!!」

「!?」

 ガバっと効果音がつきそうなほどの勢いで飛び起きる。


「はぁ、はぁ......」

(なんだったんださっきの夢と頭痛は......。あのままいったら確実にあの親子は殺されてた...)

ふーと息をつきもう一度枕に頭を落とした。

その直後、隣から冷え冷えとした空気が漂ってきている気がした。それは、幽霊が出たきたような...はたまた、ラスボスが降臨されたようなそんな空気...


「昴!いい加減起きろっっ!!」

―ガンッ

「―っ!!!!」


意識が浮上し始めたとき、昴にとてつもない、本当にとてつもない痛みが襲った。何が起こっているか頭が追い付けず、混乱していると頭上から昴に激しい痛みを与えた犯人がいた。

般若を背にし、竹刀を肩に担いだ鬼...いや、昴の母が...

「何回言えば気が済むんだぁ?昴。このあたしの貴重な、貴重な朝の時間を割いてくれた代償はデケーぞ、覚悟出来てんだよなぁ?」

般若よろしく、黒い笑みを浮かべ、どす黒いオーラを放っている母に冷や汗をかいた...


「い、いやだなぁ。母さん。誰も母さんの貴重な時間割こうだなんて...つーか、どんだけ力強く叩いた?もはや、殴った?竹刀からバシッじゃなくて、ガンッって音したんだけど!?頭二つにパックリ割れたらどうしてくれんだコノヤロー」

「あ゛ぁ?もう一発くらいたくなかったらさっさと行く準備しろや、遅刻してぇのか?」

「マジすんませんでしたぁ!!!!」

今にも殴りかかりそうな母にさらに冷や汗が滝のように背中を流れでた...すぐさま土下座をしたくなるくらいに怖かった。


目で人が殺せそうなほど鋭く睨まれながらも母の横を逃げるように通り過ぎ、一階に下りていった。


一階では父の龍之介がソファに座りコーヒーを飲んでくつろいでいた。

「おはよう。昴」

「おはよー...」

「また、梓に叩かれたのか」

「まあね。つーか、叩かれたなんて生易しいもんじゃないから!正確には殴るだから!」

爽やかにあいさつしてくれた父に不機嫌気味に返す。

すると、仕返しとばかりに父は笑みと共に毒を吐いた。

「ははは、すぐに起きないお前が悪い。まぁ、お前の頭はカラッポに近いから大丈夫だろ。むしろいい刺激だったんじゃないか?」

「父さん......それはいくらなんでもひどくね?」

なんか、泣けてきた...と泣きまねをしてみたが、スルーされた。

さすがにこの父には効かない。父親は娘には弱いって世間の人はよく言うけれど、うちでは絶対に天変地異が起きようとも絶対にありえない。(大事なことだから2回言いましたよーテストに出るから)なぜなら、父は母を呆れるほど溺愛してるからだ。ちなみにその逆も然り。人っ子一人入る隙間なんてこの二人の間には微塵もない。

気づけば機嫌の悪かった梓がいつの間にか龍之介の隣に寄り添うように座っていた。どこのバカップルと見間違いそうになるくらいに。

「梓、昴の無駄に硬い頭叩いて怪我してないか?手ひねったりとかしてないよな?」

「ふふ。大丈夫よ龍之介さん。ちょっと手がビリビリしただけだから。龍之介さんの優しいとこ大好きよ」

「全く、梓は...ホントにかわいいな」

「やだぁ。龍之介さんったら!」

子供の目の前でいちゃいちゃしだした両親に昴は何も出来なかった。出来る筈もなかった。

「はぁ~......もーいーですよーっと」

昴はため息を付きつつ学校に行く準備をし、仲睦まじい両親を尻目に家を出た。



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