episode 071
暫くして研究室を抜け出した二人は、やや暮れ掛かった空の中、並木通りを駅の方向に向かっていた。
「結局、謎が深まっただけだったね」
秋希は一気に解決を図っていたらしく、残念そうに呟く。
「ああ、でも昨日迄と比べれば大進歩だよ」
春都は、細かい疑問は置いて、とりあえずの満足感を確認した。
「悪かったね。秋希ちゃんまで犯罪まがいの事させちゃって」
ううん、と秋希はかぶりを振った。
「私も相談副室長だもん。これくらい平気平気」
気丈に胸を張る彼女だったが、続いて春都が発した言葉に不意を突かれた。
「せっかく、綺麗な格好してたのに」
「……え?」
聞き直した秋希に、彼は照れくさそうに頭を掻いた。
「あ、いや俺ってあんまりそういうのに疎くってさ。ただ今日の秋希ちゃんは凄くお洒落で可愛いなぁと思ってさ」
「……ふえ」
秋希は、思わず顔を綻ばせた。
彼女は、春都と2人で出掛けるという事で、気合を入れて昨晩遅くまでコーディネートをしていたのだ。
「早く帰りましょ、門限過ぎちゃう!」
にやけ顔を隠しきれていない彼女は、春都の腕を取って最寄駅へと歩き始めた。




