episode 062
そして二人は翌土曜日に、拝島教授に繋がる手掛かり……文献を探すべく、立川に出て来ているのだ。
目的の物が見つからずに何件かハシゴした後、彼等は立川駅北口に近いビルに入った。
そこは、一フロア全てが書店となっており、扱っている本の種類や内容も、充分期待出来るレベルにあった。
「理工書コーナーは……一番奥ね」
店内に掲示されていた案内図で目的地を確かめた秋希は、すたすたと歩き始める。
一方の春都は、自動車雑誌の平台で足が止まってしまった。
「うーん、やっぱりドイツ車はえーなあ。実際に買えるかどうかは別として、自動車の運転免許は取らないと……」
「どうしたんです?早く行きますよ、室長」
幾分後ろ髪を惹かれながら、春都は秋希の後を追った。
理工書コーナーでも、彼は自分の興味がある分野(機械・科学)で足が動かなくなり、ようやく生物学の棚についたのは随分後になった。
混み合っていた新刊雑誌コーナーに比べて、この近辺には殆ど人が居ない。
たまに学生らしき青年が、レポートのネタ本探しに徘徊している程度だ。
二人は、両端からゆっくり丁寧に本の背表紙を見ていった。
すると、秋希が一冊の本を抜き取った。
「これかな……うん、間違いない。『著者:拝島新太』って書いてある」
「あった?」
「ええ」
駆け寄って来た春都に、彼女は本のタイトルが書かれた表紙を向けた。
『獣祠道~榊原燕鼠の描いた世界~』




