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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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61/72

episode 060

「エンソ様?」

聞き慣れない言葉に、春都は思わず聞き直した。


「そう、エンソ様」

 観念した秋希は、彼に自分が思っていた事を正直に打ち明けたのだ。

 彼女は、オーガが自分を見て言ったセリフを思い出していた。


『……エンソ様には、勿体ないんだナ……』


「おそらく、あの怪物を生み出した人物を指していると思うわ」

「あまり聞いた事ない名前だなぁ……ちょっと待って」

 春都はキーボードに向き直った。


 二人は今、技術準備室に来ている。

 内々の話ということで秋希を連れて来た春都だったが、ここに来るまでにナタリーを説得するのは一苦労だった。


(だから、ちょっとの間おとなしくしていて欲しいんだよ)

『ナンデ? イイジャナイ』

 彼女は、明らかに不機嫌な様子だ。


(秋希ちゃんには、インベンションマンの秘密を知られる訳にはいかないんだ。頼むよナタリー)

『今週ノ、●ay』

(え?)

『夏服ノ特集号。アレデ手ヲウッテアゲル』


 要約すると、人気の女性ファッション雑誌を購入して、夏服の衣装をスキャンしてくれという意味である。


(わ、分かったよ)

『ムフフン、ヨロシイ』


(蔵敷がコソコソ教育してるみたいだが、どんどん俗人的になっていくなぁ)

 今は画面の中で、パソコンの壁紙の如くじーっと澄まし顔で固まっているナタリーを見て、春都は苦笑した。


「エ・ン・ソ、と。よし、ネット検索プログラム始動」 


 すると、画面内のナタリーがとことこ歩き始めた。

 壁紙のキャラクターが突然動き出したことで、一瞬ぎょっとした秋希だったが、ナタリーが一生懸命辞書を繰っている姿を見て「かわいい!」と言って顔を綻ばせた。


 程なく、検索終了のダイアログが現れる。

『該当件数ハ2件デス』

「ビンゴだな」

 ウィンドウに出て来た『2ノ1』というボタンを春都がクリックする。


 データを読み込んでいる間、秋希は砂時計のアイコンを眺めながら、ドキドキして待っていた。


 10秒後、検索結果が画面に映し出される。


『超強力!塩素殺菌の効果と恐怖~日本塩素研究会調べ~』


 春都と秋希は、数分間パソコンの前で固まっていた。

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