episode 057
梅雨入り間近であったが、今週末は予報通り文句無しの快晴であった。
行楽地へ向かう人々でごった返す中、春都は立川駅の改札前で、柱にもたれてぼーっとしていた。
「ごめんなさい、遅れちゃった」
モノレール駅の改札をくぐり抜け、私服姿の秋希がこちらに向かって手を振る。
「いや、問題無い」
歩く度に揺れている薄緑色のショートワンピースが眩しく見え、彼は慌てて目線を反らした。
「よし、じゃあ行くぞ」
「はいっ!」
歩き出した春都に、秋希は笑顔を隠すことなくぴったりと付き沿っていた。
二人は、単に休日デートを楽しんでいる訳ではない。
話は、3日前に遡る。
「調査打ち切りだと!?」
自分の耳を疑った冬流は、腕組みをしている春都に詰め寄った。
彼は、ああと頷く。
「今回の下着泥棒から始まる一連の依頼について、その一切から手を引く様に学校側から通達があった。相談室の立場上、その決定に従わなければならない」
相談室は、あくまでも学校の一機関。
生徒が代行しているといっても、実質の権限を握っているのは学校なのだ。
「でも、死人が出ているのに……」
「証拠が無くてもか?」
夏純の言葉を、春都は返す。
「下着泥棒、女子トイレの生徒共に、死体が消えてしまった。謎の怪物も然り。一回目の飛び降りは、受験のストレスによる自殺と片づけられた」
「む」
彼女は言葉に詰まった。
真実を見極めるのに、物的証拠が最終的にモノを言う事は充分に理解しているのだ。
「学校側も、イメージ低下を防ぐべく必死になっているらしい。今夜の襲撃も、Vシネマの特殊撮影という事にしたようだ」
「いま置かれている立場は、よく分かりました」
ここまで黙って春都の話を聞いていた秋希が、ハッキリとした声で言った。
「……それで、室長ご自身の考えは?」




