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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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55/72

episode 054

「ひだり……じゃない、君、大丈夫か?!」

「は、ハハ……ちょっとかかっちまった」

 額にびっしり汗をかいた冬流は、精一杯強がって胸を張った。

「それより正義の味方、あの化け物を早いとこ倒してくれ」

「分かった」

 ケビンは立ち上がった。

 膝が抜けそうになるところを、気合いでグッと堪える。


『おーおー、もうフラフラだナ。お前は必殺技で葬り去ってやるんだナ』

 オーガはケビンに狙いを定めると、ドンッという加速で跳び出して行った。

 額の上の角が、鋭利な輝きを見せる。


「!!」

 予想より遥かに早いそのスピードに、彼は躱わす暇も無く体当たりをくらった。


 アスファルトの上をバウンドした後、20メートル位して止まる。

「きゃああっ!」

 限界に達した愛唯が、ついに気を失った。


(あれ、何で突き刺されなかったのだろう?)

 衝撃による痺れは残っているが、角で突き刺された痛みは感じられない。

 ケビンは身体を引きずりながら、何とか体勢を整えた。

『しぶとい奴、もう一発くらうんだナ』

 勢い良く地面を蹴ったオーガが、再び顔面から突っ込んで来た。


(顔面打ち!?)

「同じ手をくうかっ!!)

 軽くスウェイしてそれをかわしたケビン。

 勢いの付いたオーガの体は通路を突っ切り、向かい側の校舎にめり込んで止まった。


(また、顔面からだ)

 ケビンは、怪物が壁に顔から突っ込んだ姿を確認していた。


「やったか?」

 夏純に助け起こされた冬流は、崩れ落ちた瓦礫の山を見つめる。

 だが、それを撥ね除けたオーガは、全くの無傷だった。


「うげえ」

 冬流は絶句した。

『効かないナ』

 けろっとしている怪物に、ケビンは質問を投げかけた。

「お前、どうして顔面から突っ込むんだ?」

『それは、自分が打たれ強いところを見せてやったんだナ』


「駄目だ、かないっこない」

 肩を落とした冬流の耳に、オーガとは違う笑い声が聞こえて来た。


『な、何がおかしい!』

 声を荒らげたオーガを無視して、ひとしきり笑ったケビンは、真顔になって応えた。

「ああ、ようやくお前の弱点が見えて来たからね」

 冬流と夏純は、彼の言葉にお互い顔を見合わせた。


「あれだけ追い込まれているのに、まだ勝利を確信しているのね」

「ああ、しかもやっこさん、自信満々だ」

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