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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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51/52

episode 050

「よし、充電完了」

 携帯端末の画面に表示されたバッテリーの容量がフル充電になったことを確認した春都は、よっと身を起こした。


 現在彼は、5号館の屋上に居た。

「時間がない。ナタリー、このまま『イマージング』するぞ!」

『リョウカイ』

 彼女は、自分のディスプレイに実行プログラムを入力した。

 ややあって、元画像のスキャニングが始まる。

『転送率80ぱーせんと、いまーじ完了マデアト10秒』

 両踵のスイッチを入れた春都は、身体を包むバリヤーズフェルトの変化を感じながら、校舎の端に向かって走り出した。

「いくぞッ!!」

 思いきり欄干を蹴った瞬間、バシュッと音が響いて、彼の身体は大きく上方へと跳び出して行った。


『か、可愛いんだナ、君達』

怪物は、ニヤニヤしながら二人へと近付いて来た。

『エンソ様には勿体ないんだナ、このオーガが頂いちゃうんだナ』

 怯える愛唯の耳元に、熱い息を吹き掛ける。

「嫌っ!」

 彼女は顔を背ける。

 その仕種が気に入ったらしく、オーガはざわざわと触手を伸ばしてきた。

「やめなさい!」

 愛唯の前に立った秋希は、果敢にもそれを払いのけた。

 しかし、その後更に伸びて来たもう一方の触手が、彼女の身体をギュッと絡め捕った。

『お、俺……気の強い女も、好きなんだナ』

 自分の前に秋希を持って来たオーガは、大きな口を開けた。

 歯の間から垂れた酸の涎が地面に落ち、白煙を上げている。


「くっ、このエロ豚が!」

 冬流が思わず駆け寄ろうとしたが、オーガの声が彼を押し止めた。

『お前があと一歩近付けば、この娘の命は無いんだナ』

「ちっ!」

『それからそっちの女。無線で仲間に指示するのも駄目なんだナ』

「あーら、バレてた?」

 小声で腕時計型の通信機に話しかけていた夏純が、きまりが悪そうに乾いた笑い声を上げた。

『まあ、何をやっても全て手遅れなんだナ』

 そう言ったオーガは、ガバッと口を開けた。

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