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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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46/55

episode 045

 クレーターを取り巻いていた生徒達に、どよめきが起こった。

 球状の物体が、静かに動き出したのである。


 数十秒後、半周した表面に真っ赤な光が現れた瞬間、球は左右にばっくりと割れた。

「爆発するぞ!」

 誰かがそう叫んだため、群衆は慌てて物体から距離を置いた。

 そうこうしているうちに、半分に割れた球体の表面が盛り上がり、端々から細長い脚の様なものがせり上がって来る。

「うえ……」

 完全に変形したその姿を見て、冬流は軽く吐き気を覚えた。

 目の前の物体は、それ位強烈なものだったのだ。

 体と脚は鳥類のそれであり、角は牛並みのものが二つ。

 顔面は豚で、大きく割けた口からは長い舌がいやらしく蠢いている。

 腕がわりの触手が、行き場の無いようにゆらゆらと彷徨っていた。


 空想の世界から飛び出て来た様なその姿に、生徒達はみな言葉を失っていた。

「そういや映画研究会が、新作映画の撮影やってるって言ってたな」

「違うよ」

 冬流の側にいた映研部長、小寺大輔こでらだいすけが即座に否定する。

「予算も少ねぇのに、誰があんなグロいもん作るかよ」

「……キメラ、みたいだね」

 集団の最前列に座り込んで、ノートパソコンを操作していた白衣の男子生徒が言葉を挟んだ。

「ドクター、キメラって何だ?」

 聞き慣れない言葉に、冬流が尋ねる。

 生物研究会総代表、ドクターこと笹岡博之ささおかひろゆきが得意気に言った。

「合成獣の事さ、さしずめ鳥とイノシシと牛ってところかな」

「何でも混ぜりゃいいってものじゃねえぞ……」

 うんざりした様子で冬流が呟く。

「そんなもの、誰が作ったんだよ」

「知らない」

 ドクター笹岡はあっさり言った。

「いつか作りたいとは思っていたが」

「作るな、んなもん」

 カウンターで言葉を返した冬流は、さっきから彼の膝元でシャッターを連写していた女生徒に向き直った。

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