第一章 休憩タイムのはじまり
視界がゆっくりと明転する。
転送の光が収まると、そこは殺風景なミッション空間ではなかった。
草原。夜の静けさに包まれた場所。
焚き火のそばに並んだいくつかのテント。
空には満天の星。
「おつかれさま〜♪ ここで、ひとやすみだよっ☆」
あの球体の小動物、ポルルが笑顔で浮かびながら言った。
「きみたち、魂バッファがそろそろ危ないからね〜。ここは“休憩領域”! ミッションとミッションの合間にある、小さなサンクチュアリなのだ☆」
「……それ、また“誰かの設計”ってことか?」
カエデが低く問う。
「ん〜ん。ここは特例中の特例だよっ♪ 深く考えなくていいってば〜。じゃ、あたしはまた観測席に戻るね〜、ばいば〜い☆」
ポルルが光の粒となって消えると、空間には静寂が戻った。
「……なんなんだ、あいつ」
「でも……今は、ほんとに“休憩”みたい」
シズハが空を見上げた。 風も穏やかで、焚き火の音だけが静かに空間を満たしていた。
(こんなに、穏やかな時間なんて……久しぶり)
(でも……この静けさすら“仕組まれてる”気がして怖い)
彼女の胸には、どこか割り切れない感情が残っていた。




