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嘘と真実の狭間  作者: 柊れい
第6章
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第6章 第3話: 裏切りの真実

放課後、涼と再び会うことにした。昨日の会話から心に生じた疑念が消えないまま、私は彼の言葉の裏に隠された真実を探りたいという気持ちでいっぱいだった。今まで信じてきたものが根本から揺らぎ、何が本当で何が嘘なのか、誰が味方で誰が敵なのかもわからなくなっていた。


カフェの席に座ると、私はじっと涼の顔を見つめた。いつもと変わらない優しげな笑顔。しかし、その笑顔の裏に隠された何かがあるような気がしてならなかった。昨日の話では納得できない。何かが足りない、何かがまだ語られていない。


「涼、もう一度ちゃんと聞かせてほしい。私に隠していることはないよね?」


私は意を決して、彼に向かい合った。涼は一瞬視線を落とし、ため息をついた。


「沙耶、何度も言ってるけど、俺は君のことを守りたいだけなんだ。」


彼の言葉はいつも通り優しく響く。しかし、その優しさに私は違和感を覚えた。何かが噛み合っていない。悠斗との過去、そして涼が関わってきた経緯――全てが曖昧で、真実が見えてこない。


「本当にそれだけ?悠斗のことを知っていたなら、どうしてもっと早く何かできなかったの?事故が起きる前に止めることだってできたはずじゃないの?」


私の言葉が鋭く涼に突き刺さる。彼はしばらく黙り込んだが、やがて静かに口を開いた。


「…沙耶、君にはまだ話していないことがある。」


涼の声が少し重く響いた。私の心臓がドクンと跳ね上がる。やっぱり、何かが隠されていた。何が涼の口を閉ざさせていたのか――それを知る覚悟が私には必要だった。


「悠斗のこと、俺が知っていたのは…もっと前からなんだ。」


涼の言葉が私の胸を締め付けた。もっと前から?何を知っていたというの?


「悠斗が君に近づいたのは偶然じゃない。あいつは最初から君を狙っていたんだ。…俺が、悠斗に話したんだ。君のことを。」


頭が真っ白になった。涼が、悠斗に私のことを話していた?どういうこと?何が起きていたの?


「なんで…どうしてそんなこと…?」


言葉が出ないまま、涼を見つめ続けた。彼は目を逸らすことなく、静かに続けた。


「最初は、ただ君のことを気にかけてくれてるんだと思ってたんだ。悠斗も友達だったし、信じてた。でも、あいつが君に近づいてから、何かが違うって気づいた。俺は…君を守りたかった。でも、結果的に君を危険にさらしたんだ。」


涼の言葉が次第に重くなる。彼の声には、後悔と自己嫌悪が滲んでいた。


「悠斗は、君に対して何か執着を持ってたんだ。俺はそれに気づいた時、すぐに止めようとしたけど、もう遅かった。君が事故に遭ったのも、俺のせいなんだ。」


「涼…」


私は言葉を失った。涼は私を守ろうとしていたのかもしれない。でも、その守りが裏目に出て、結果的に私を傷つけたことは変わらない。


「だから、悠斗のことをずっと見張ってたんだ。君が危険にさらされないように。でも…俺がもっと早くに動いていれば、君があんな目に遭うことはなかった。すまない…」


涼の目は本当に後悔しているように見えた。彼は私のために行動していたと言う。でも、その行動が、私を巻き込んだ原因でもある。


「涼…私、どうすればいいの?」


声が震える。涼を責めることもできない。彼が抱えてきたもの、そして私が抱えた恐怖が、すべてここに繋がっている。


++++++++++


涼との会話が終わり、私は一人で帰宅の道を歩いていた。心の中は混乱していた。悠斗のことも、涼のことも、もう誰を信じていいのか分からない。


途中でスマホが震えた。画面を見ると、知らない番号からのメッセージが届いていた。


「沙耶、これからどうする?」


一瞬、心臓が止まりそうになった。送り主は書かれていないが、直感的に悠斗からだと分かった。彼の存在が、私を再び恐怖に引き戻す。


「もうお前の記憶が戻ってきたんだろう?覚えてるよな?俺が何をしたか。」


一言一句、胸に突き刺さる。その瞬間、頭の中で記憶が鮮明によみがえる。悠斗の冷たい手、私を車道に突き飛ばした瞬間の彼の顔。そして、その後に彼が笑っていたこと。


私はその場に立ち尽くし、震えが止まらなかった。悠斗がどこかで私を見ている――そう感じずにはいられなかった。


++++++++++


家にたどり着くと、私は玄関で座り込んでしまった。全身の力が抜け、心臓が早鐘のように鳴り響く。


悠斗のメッセージが示すもの、それは彼が今も私を監視し、次の一手を待っているということだった。彼の冷たい視線がどこかに潜んでいる。私はどうすればいいのか分からなかった。


「涼…」


彼に頼るべきなのか、それとももう誰も信じてはいけないのか。頭の中で感情がぐちゃぐちゃになり、涙があふれて止まらなかった。


悠斗との過去、涼の後悔、そして今の私――全てが複雑に絡み合い、私を追い詰めていく。


そして、次の瞬間、玄関のインターホンが鳴った。

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