第3話 ぷにぷに結界
13歳になる年になったので、僕は二カ月後に、教皇国の魔法学園の中等科に、アンディ君はフルール王国の王立学園に入学することになった。
そこで、僕とアンディくんは母さまから「詐欺メイク」の手ほどきを受けることになったんだ。
認識阻害の魔道具にだけ頼ってしまうと、その効果を強制的に解除する場所とか、真贋系の特殊スキルを持ってる人に触れた時点で認識阻害の効果が無くなってしまうんだよね。
そして王立学園や魔法学園には、真贋系の特殊スキルを持った教職員や生徒が何人かいるらしいから、気を付けるように注意されているんだ。
「アンディ君は、マッシュルーム風テクノカットにして、黒縁の伊達眼鏡風魔道具で大丈夫なんだけど、念のために眉毛を野暮ったく太く描いて、目の周りには暗めのアイシャドーをのせて寝不足のクマを作りましょうね。」
アンディ君は素材を殺すメイクを母さまから伝授されちゃったよ・・・
「お~、ガリベンっぽい!」
アンディ君は、野暮ったい男の子メイクが気に入ったみたいで、鏡を覗き込んで百面相を始めた。
「シャルルは、結界で肉襦袢をつくりましょう!」
母さまはそう言って僕にピンク色の手のひらサイズの丸い結界を作ってみせてくれた。
「見てわかりやすいように色も付けたのよ。触ってみて。」
ピンクの結界を触ってみると、ぷにぷにのほっぺを触っているような弾力があった。
「凄い、ぷにぷに!」
「こんな感じで、体に沿った結界を展開できれば、見た目だけでなく触感でもぽっちゃりを偽装できるし、結界で守られるから、真贋スキル持ちの人にうっかり触られてもね、結界が護ってくれるから認識阻害の効果は消えないのよ!」
「凄い、母さま!」
「うふふふ~懐かしいわぁ、私もね、学生時代は詐欺メイクとぷにぷに結界で偽装して、当時の皇太子妃候補から外れたのよ~」
そう言って母さまは当時の絵姿を僕たちに見せてくれた。
「可愛い!」
ぽっちゃりだけど、可愛い系のおっとりメイクの母さまと、今より少し若々しいカッコいい父上が仲良く並んでいた。
「うっかり、本当にぽっちゃりした時期もあったんだけどね、テオがね、そんな君も可愛いくて大好きってプロポーズしてくれたのよ~」
のろけが始まちゃった・・・
うん、仲がいいのは良いことなんだけどね。
あ~、でも、ぷにぷに結界は作るのが結構、難しかったよ。
弾力がね、なかなか均一にならないの。
「慣れるまでは丸くて柔らかい結界に入るイメージで作ってみましょう。」
丸くて柔らかい・・・シャボン玉はすぐに割れるから、ソフトテニスのボールとか、風船とかをイメージしたらいいかな?
「いい感じね。持続時間を少しずつ増やして、最低でも5時間維持できるようになったら体に沿った形にできるようにしましょうね。今日は初日だからこれで終わりにしましょう。」
小一時間だけ練習して、あとは三人でティータイムをしてお開きになった。
入学式まであと二カ月あるから、僕はぷにぷに結界の練習、アンディ君は色んなタイプの男の子メイクを母さまに習って過ごしたんだ。
でも、5時間もの長い間、結界を維持するのはとてもハードだった。
「お菓子いっぱい食べて、ほんとにぽっちゃりになった方が楽かも・・・」
体力の限界を迎え、僕はアンディ君にお姫様抱っこされてソファーまで運ばれてしまった。
同じ年の女の子に、お姫様抱っこされちゃったよぉ・・・
( ;∀;)
「ごめんね、アンディ君・・・」
「気にするな。俺はシャルルの聖騎士だから、護るのは当然だし、甘えていいんだぞ。」
「アンディ君が男前すぎ。僕だって、アンディ君みたいにカッコ良くなりたい。」
「シャルルはカッコいいよ。」
「どこが?」
「頑張り屋さんなとこ。だって、諦めないだろ?」
「うん。絶対、ぷにぷに結界マスターするよ。」
「そういうとこ、可愛いし、カッコいいぞ。」
「可愛いは余計だよぉ。」
「ははは!」
むむむ!
「僕、いつか絶対、アンディ君より大きくなって、アンディ君をお姫様抱っこしてやるんだからね!」
「ああ、楽しみに待ってる・・・ふふっ」




