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断罪される悪役で当て馬な仔ブタ令息に転生した僕の日常  作者: 藍生らぱん
第一部

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第15話 妖精の悪戯


クリストフ君は生徒会長でジェラート屋さんの最高責任者なので、長居はせずに売り場に戻って行った。

「ふう・・・随分とチャラ・・・陽気な王子様だったね。僕と入れ違いで良かった。」

「俺らはあと半年、振り回されるけどな。」

と、オスカー君はやれやれと肩をすくめてみせた。

「甘いの食べたから、今度はしょっぱいのが食べたいよな。」

「僕、魔物肉の唐揚げ食べてみたい!」

「ああ、今年はコカトリスの唐揚げらしいから、絶対美味しいよ。」

「ランス、本当か!」

アンディ君の目の色が変わった。

「俺、大好物なんだよ!」

「じゃあ、食べ終わったら行こう。」

仮婚約者だけど、ランス兄上とアンディ君は仲がいい。

同じ勇者を目指す者同士、よきライバルで、よき友って感じ。


アンディ君は僕と同い年なんだけど、知識豊富で武術も強くて、頼りがいのある人なんだ。

兄たちもオスカー君も、アンディ君とは対等に接しているんだよ。

冒険者としても最年少でBランク入りしてるんだ。


***


魔法大学院(アカデミー)の魔物肉の唐揚げ屋さんは、黒い人だかりで長い行列ができていた。

ジェラート屋さんは女性が多かったけれど、こちらは男性が多いなぁ。

「凄い人数だね。食べられるかな?」

小一時間ほど並んでようやく順番が来た。

揚げたてを買ってみんなで歩きながら食べたよ。

美味(うま)い!」

美味(おい)しい!」

美味(うま)すぎ!」

「「美味(うま)っ!!」」


前世では病気のせいで不特定多数が集まるお祭りとか、屋台にはめったに行けなかったし、食事制限もあったんだ。

でも、今世は健康で、兄弟と友達がいて、一緒に同じものを食べて「美味しい」って共感できている。


前世でできなかったことを一つずつ経験してる今の幸せを噛みしめながら、僕は母なる女神さまに心からの感謝の祈りを捧げた。


***


お腹がいっぱいになったので、学園の区画を出て、商業ギルドの区画に向かった。

魔石とか、魔道具のジャンク屋さんがあったり、焼き菓子の屋台とか、飲み物系の屋台もあったんだけど、ひときわ僕の目を引いたのはカラーヒヨコ屋さんだった。


そこでは大きさも色もまちまちなヒヨコを売っていたんだ。

黄色はもちろん、白、ピンク、緑、青、灰色、黒と、カラフルなヒヨコが藁を敷き詰めた木箱の中でピヨピヨ鳴きながらうごめいていた。

手のひらサイズの小さなものから、仔犬サイズまで、色と大きさによって種族が違うみたい。


前世の日本に昔あったテキ屋さんのように、カラースプレーで染めているわけではなくて、みんな天然の色だから安心してね!


そんな中で僕がとても気になったのは灰色のヒヨコだ。

「坊ちゃん、それにするかい?」

屋台のお爺さんがニコニコと愛想よく聞いてきた。

「うん、いくらですか?」

「銀貨1枚だよ。」

僕はポケット(正確には亜空間収納)から銀貨を1枚取り出した。

「毎度あり。大事に育てておくれよ?」

「ありがとう、おじいさん。」

僕は手のひら二つ分の大きさの丸いフォルムの灰色のヒヨコを抱きかかえて、少し後ろで待っていてくれた兄たちの方へ戻った。

「「何のヒナ?」」

「あ、聞くの忘れた!」

振り返ってみると、おじいさんも、ヒヨコの屋台も忽然と消えていた。


「うそ・・・」

「「妖精の悪戯か・・・」」

この世界の妖精には悪戯好きな個体がたまにいて、様々なことを人間に仕掛けてくるんだ。

赤ん坊を取り換えたり、森の中をグルグルと彷徨わせたり、幽霊に化けて脅かしたり。

身の回りで不可思議なことが起こったら、十中八九、妖精の悪戯だと言われているんだ。

「ええ・・・ってことは、ヒヨコじゃない可能性もある?」

「ただのデカいだけの鳥のヒナならいいが、Cランク以上の魔獣の幼体だったら大変なことになるぞ。」

と、オスカー君が教えてくれた。

早く帰って鑑定してもらわないと!

僕たちはすぐにメルク兄さまの転移魔法で屋敷に戻った。


「お祖父ちゃま、鑑定お願いします!」

僕はすぐに祖父の研究室に駆け込んだ。

「ルル、どうした?」

「えっとね、」

僕はバザーでのカラーヒヨコの屋台の話をして、灰色のヒヨコをテーブルの上に置いた。

ヒヨコはブルブルと体を震わせると、あくびをして丸くなって寝た・・・

「・・・どれどれ・・・」

祖父はヒヨコに手をかざして、レベル10の鑑定をかけてくれた。

鑑定結果も僕が視認できるオマケ付きで。

流石、大賢者さま!


鑑定結果は・・・


***

聖獣フェンリルの幼体

名前未定

生後三ヶ月


称号 次期教皇アマデウス13世の守護聖獣

   聖獣王見習い

   女神の御使(みつか)


特殊スキル 転移 亜空間収納 体力と魔力の自動回復 真贋 変幻自在 身体強化 状態異常無効化


スキル 結界 治癒 浄化 隠蔽 認識阻害 覇気 


属性 聖 無 雷

体力 500

魔力 500


状態

 妖精の悪戯によりヒヨコに見えていますが、明日には解けて本当の姿に戻ります。

 幼体なので魔力がご飯。

 教皇の聖なる魔力で作られた魔石を与えましょう。

 成体になれば自力で魔獣を狩ります。



「聖獣・・・」

「教皇にはつきもの(・・・・)だな。教皇(兄ちゃん)にも憑いとるし。」

今代の教皇さまは祖父の実兄なんだよね。

そして今代の教皇さまの守護聖獣は白変種(アルビノ)のコウノトリなんだ。

名前は確かエメリック。


「とりあえず、ルルの魔力で聖属性の魔石を作れるだけ作っておいた方がいいだろうな。」

「そうだね。」

僕は左手のグローブを外すと、お腹に手を当てて魔力を集中させた。


僕の場合は、お臍の下の方に魔力を作ったり貯めたりする器官があるんだけど、以前の僕はそこから魔力を循環させる管?に詰まりがあって魔力を出すことができなかったんだ。

祖父とカドケウスのおかげで、その詰まりも解消された今は自由に魔力を出せるんだけど、魔力を魔石そのものに変換する作業は錬金術師のスキル持ちにしかできないんだ。

錬金術師のスキルが無い魔力持ちは空の魔石に補充はできるけれど、何回か補充しつつ繰り返し使うと魔石は砕けて無くなってしまうんだ。

天然の魔石は前世の世界でいうところの宝石、後はダンジョン内の魔獣や魔物を倒した時のドロップ品の中に、運が良ければ魔石が出るんだ。


魔力集中をして数分後、僕のお腹から白い光の塊が出てきた。

僕はそれを左手で握りこんで、結晶化させるイメージで固めていく。

「よし、もう良さそうだな。」

祖父の声を聞いてから、僕は作業を終了させた。

「どうかな?」

左手の平の中には、無色透明な水晶の結晶のような六角柱の魔石が出来上がっていた。

祖父はそれを手に取って鑑定すると、僕の頭を優しく撫でてくれた。

「上手に出来ているぞ。」

「やった!」

「どれ、寝床でも作ってやるか。」

祖父は薬草を摘む時に使う取っ手付きの籠を浄化して、ガーゼのタオルを敷き詰めて、僕が作った魔石を中に入れた。

僕は魔石の隣にヒヨコ改め、フェンリルの幼体をそっと入れた。

「名前をつけないとな。」

「明日、本当の姿見てから付けてもいいかな?」

「一度付けたら変更できんから、それがいいだろうな。」

「うん、どんな名前がいいかなぁ・・・」

カッコいい系か可愛い系か悩むなぁ・・・



────────────


補足

魔獣は動物系

魔物はゾンビ系やレイス系等、人間の見た目に近いもの


魔核は魔獣の心臓

魔石は魔核とは別に、肥大化した魔力が凝固した魔力結晶で、Aランク以上の魔獣か魔物からしか取れない。(イメージ的には結石が近いかも)

ダンジョンではCランクとBランクの魔獣か魔物からもランダムで入手可能。



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