ep90 3 to 2
「よっ!反町!」
「誰だそれは、私はリュティ、わかった?」
「あ、そっかごめん。こーいうゲームはあんまりやったことなくてさ」
「まったく、私はやることがあるのに」
そんな文句をつぶやきながら私は友人に視線を向ける。いや、友人と呼ぶのはちょっと癪なので知り合いと呼ぶことにしよう。
「やること?いいじゃん、一緒にやろうよ!なんか倒しに行くの?くえすと?ってやつ?」
そんな風に首をかしげる友人……プレイヤーネーム「ユリ」は私のリア友である。何の気の迷いからか、この度Ckoを始めるという事だったので、いろいろ教えてほしいと言われたのだ。まあどうせすぐに飽きるでしょ。
「初期装備の初心者プレイヤーが何人いても邪魔なだけだよ。じゃあユリ………さん、とりあえずモンスターを倒してレベルを上げにいこうか」
物珍しそうにあたりをキョロキョロと見まわしているユリに声をかける。
「了解しました!たいちょー!」
すぐにこちらを振り向き、敬礼のようなポーズをびしっととるユリに軽くため息をつき、歩みを進める。
※
「さて、基本的にはこんなもんかな。あとは自分の好きなようなプレイスタイルで、好きなように遊べばいいと思うよ」
「ふむふむ、なるほどー」
一通り基本的なことを説明し終えた私は自警団とやらを殲滅すべく踏み出そうとして。
「ちょっ、ちょっと待ってよ反町、早いって」
後ろから服を引っ張られる。
「だから、リュティね?」
軽く振り払いながらユリに向き直る。
「いやいや、せっかくだからさ、もーちょっと一緒に遊ぼうよ、ね?」
「えぇ…………」
「ね?いいじゃん、おねがいっ!」
「………まあ、いいけどさ、なにするのさ?」
正直別に構う必要はなかったんだけど、あまりにも縋り付くものだから仕方なく付き合うことにする。
「リュティは何するの?付き合うよせっかくだからさ!」
「初期装備に毛が生えた程度の装備の初心者がいても邪魔なんだけど…………というか、PKだよ?」
「いいじゃん!いこーっ!!」
《四大特異点「呪神」を討伐しました》
《白神は微睡みの中にいます》
「ん?」
「は?」
ユリが元気いっぱいに叫ぶとほぼ同時に流れたそのアナウンスには聞き覚えがあった。
「たしか……前にアヤが倒したボスの……」
「え、リュティ、なにこれ?」
「ちょっと待って」
すぐにゲーム内のチャットを開きアヤに確認のメッセージを送る。十中八九アヤが倒したのだと思うけど、どうせなら一緒に戦いたかった。次は連れていってもらえるようにその意を含んだメッセージも追加で飛ばしておいて、さっきから困惑気味のユリに向き直る。
「さて、ユリこれは多分四大特異点っていう強いボスを倒した時に流れるやつで───」
《四大特異点「竜神」を討伐しました》
《賛美しましょう。白神は目覚めようとしています》(19:23:59:59)
「……………は?」
思考が、一瞬止まった。
四大特異点、おそらく前にアヤが倒した鬼神の同類であり、ゲーム的に言うならばボス的な存在。ボスとは言ったものの、そもそも情報自体ほとんどないってフカセツが言ってた。今回二体のボス?が一度に倒されたわけだけど、これはアヤが同時に倒したの?アヤクラスの規格外ならできそうな気もするけど、やっぱりアヤとは別の何者かが倒したと考えた方が自然………かも?となると誰が……まさかラノベ主人公?
「ど、どしたのリュティ?急に黙って」
色々考えてると、不意にゲーム内チャットの通知が来る。ちらっと見た感じ、私、アヤ、フカセツに奴隷のグループチャットの通知だ。アヤが説明か何かしてくれるのかな?と思いながら開く。
忠実な奴隷
すんません、竜神とかいうの倒しちゃいました……
「は??」
いや、は?意味が分からない。どういうこと?てか、お前かよ。




