ep83 侵略する?助命する?それとも………
『条件を達成しました【古竜人】に進化しますか?』
目の前に、久しぶりに見るウインドウが浮いている。種族進化のウインドウだ。次の種族は古竜人というらしい。にしても、ちょっとレベルが上がらなさすぎだろう。レベル100で一回進化して、今がレベル125。ちょっと100超えてからレベルが上がらなさすぎだよね。
「アヤさん?どうしたんですか?」
そんなことを考えながらウインドウを眺めていると、フカセツさんが軽く首をかしげながら話しかけてきた。
「ん?いや、古竜人に進化できるんだって。私」
「…………え?進化、ですか?それって例の…………?」
「うん、じゃあやってみるね」
「え?ちょっと待ってくださいもう少し詳しく───」
ウインドウのYESの文字をタップすると、前回の進化と同様、体が微かに光だしそれと同時に体がいくらか軽くなる。全身を包み込む心地いい全能感と、上昇するステータス。
「ふふふ………いいね」
「あ、アヤさん………それは……………?」
「ふふん。これが進化ってやつさ。どうやら古竜人という種族になったらしいんだけど………」
そう言いながら体を見回すと、背中がこんもりしていた。さっとユーケイを脱いでみると、翼。「竜化」は使ってない、となると真竜人になって角が生えたような、種族的なあれだと思うんだけど……………うぅん。ますます活動しにくくなったんじゃないか?
ああそうだ、スキルが増えてないか確認しておこう。真竜人になった時は竜化とブレスが追加されてたと思うんだが。
「ふむ、「龍化」……と」
りゅうの字が違う。漢字が違うということは何か差があると思うんだが……………どうする?今使ってみるか?
「いや、とりあえず城に行こう」
これが進化ですかぁ~………なんて言いながら私を観察していたフカセツさんに声をかけ、当初の目的を思い出させる。
「そうでしたね。行きましょうか」
再びユーケイをこんもりさせ、城へと進む。少しとはいえ城の前でぐずぐずしていたと思うのだが、さっきの衛兵たちの増援が来るようには見えないし、城についている大きな扉にも兵隊は見えない。もしや歓迎してくれているのだろうか?そう思いながらフカセツさんと大きな扉を押し開ける。
「…………ほお」
「これはまた………」
扉を開けた先には、豪華というよりも美しいが勝つ円形の広間のような空間。その広間の壁に沿うように大量のエルフの兵隊。そして、広間の中心には二人のエルフ。片方はなんか明らかに偉そうというか、王っぽいというか、この空間の誰かが例のマグナスエルフなのだとしたら、おそらく彼女だろうという感じ。なんかうっすら光ってるし。そしてその隣には騎士っぽい格好の男エルフ。多分護衛か何かなのだろう。
若干その光景に圧倒され、少し身構えながらも広間に入ってみると、うっすら光ってる方のエルフが口を開いた。
「初めまして。小さな小竜と若いエルフ。私はマグナスエルフのリーシャと申します。本日はどのようなご用件でしょう?侵略ですか?助命の嘆願ですか?それとも……………まさか亡命ですか?」
なんかすごいことを口走り始めた。こわ。
「そのどちらでもないよ。リーシャさん?でいいのかな、私達は質問しに来たんだ。マグナスエルフって何かなって思ってさ。というか、亡命って………別に私たちはどこかから逃げてきたわけじゃないんだけど」
「………質問に来る態度ではありませんね。ですがまぁ………いいでしょう。今回は許すこととします」
「ありがとう」
なんか許してくれたらしい。アポなしで来たどころか、衛兵を数人殺しているのだが、許してくれるなんて心の広いうっすら光ったエルフだ。
「マグナスエルフ………それは、エルフ族の最終到達点にして唯一無二の存在です」
「ほう、それは割と直接的な自画自賛とかではなく、種族進化的に最終進化という意味かな?」
「えぇ、まあ。そうですが……………やはり無礼ですね……………」
リーシャさんの顔が若干引きつった。
「マグナスエルフさん。先ほどおっしゃっていた、亡命というのはどういう意味でしょうか?私たちがどこから逃れたとお思いになったので?」
リーシャさんの表情なんて気にしませんと言うように、フカセツさんがそんな問いを投げかける。
「それは………ただの言い間違えです」
そんな返答に、フカセツさんが再び口を開こうとしたところで、リーシャさんが再び発言する。
「さて、問いには答え、無礼も不敬も見逃しました。次はあなたたちの番です。私の要求を呑んでくれますね?」
「え、要求?そんな約束をした覚えはないんだけど?まあ………言うだけ言ってみなよ」
急に変なことを口走り始める光ったエルフに詐欺師的な何かを感じながらも、心優しい私は聞くだけ聞いてみることにする。聞くだけならタダだからね。
「では言います。あなたたち、呪神クラニィを倒してきてください。」




