ep82 最後に残った偉大な王
仮名植物と共存している町に降り立った私とフカセツさんは、ひとまず二手に分かれて軽く情報収集を開始することにした。といっても、私は近場にあった飲食店でサボっているのだが。
しかし、サボっていると言ってもわかることが無いわけではない。まあ、これはこの町に入った直後から気が付いていたことではあるのだが、この町にはエルフが多い。アハトゥの町のような、種族が偏った町は他にもあると踏んでいたので別段驚きはしなかったが、それはそれとして、植物と調和がとれた街に、大量のエルフというのはいかにもそれっぽくてワクワクするものである。
「お、これなかなか美味しいね」
せっかく飲食店に来たということで、よくわからない木の実っぽいやつのジュースを頼んでみたのだが、なかなか美味しかった。これは発見だな。これの発見を成果として報告したら……………怒られるだろうなぁ。
「にしても、最近の味覚エンジンはすごいな。ほんとに飲んでるみたいだ……………太らないよな?」
「正確には、AGE………人口味覚生成エンジン、ですけどね。あと、ゲーム内でいくら飲み食いしても太りはしませんので安心してください」
「……………やあ、フカセツさん。えっと………このジュース美味しいよ?あ!何かわかったかな?」
噂をすれば何とかというやつか、フカセツさんが現れた。しかし私は少しも動じずに自然に会話を続ける。流石私だ。
「………はあ、ええ。いろいろわかりましたよ。といっても、まだ表面上のことにすぎませんが。ひとまず共有しましょう」
「はい。お願いします………」
一つため息をついて話し始めるフカセツさん。
「まず、ここはアルタ大陸最大の都市『ニウゴマカ』。マグナスエルフが治める、エルフの町だそうです。」
ふむ。
「その、マグナスエルフってのは何?ラテン語?偉大なエルフってこと?随分適当なネーミングだね」
「はい、その点は私も気になっていたのですが、よくわかりませんでした。どうも、あの城に住んでいる王のことらしいのですが、これが名前なのか、ただ市民たちが偉大な王をこう呼んでいるだけなのかそれとも……………そういう種族なのか」
「ふむふむ」
「まあ、どちらにしても今の情報量で結論は出ませんよね。では、聞き込みを続けてきます」
「ふむ………ふむ?いや待ってよフカセツさん」
「どうしました?」
「城にいるってわかっているなら、聞き込みなんかせずに、直接聞けばいいんじゃないの?」
私のその、至極当然かつ画期的な提案にフカセツさんは少し目を見開く。
「いや、それは…………いえ、確かに」
「ふふん、だろう?じゃあ、早速行くとしよう」
私の発想に特に反論もなく受け入れてくれたらしいフカセツさんを連れて早速城に向かう。この町についてからずっと視界の端で主張を続けている、すごく太いツタ?の巻き付いた大きなお城。実に美しい白ではあるが、記念すべき私の初城攻めの舞台だ。
城へは、すぐに到着した。まあ、場所が分かっているのだから当然なのだが。
「うわ、近くで見るとでっかいツタだねぇ」
「えぇ。ここまでとは……生命の神秘、というやつでしょうか」
フカセツさんとのんきに乗んなことを話していると、急に怒号を投げかけられる。
「なんだ貴様らは!!止まれ!!」
目を向けると、鎧を着こんだエルフの兵隊らしき人が数人。
「おっと、どうしようフカセツさん衛兵?に止められてしまった!殺す?無視する?」
「なんですかその争いしか生まない二択は……じゃあ、無視する、で」
「ピロン!私たちは無視を選択した!よし、進もう」
そんなことを言いながらきれいな木?石?で造られた門をくぐろうと私が一歩踏み出そうとすると。
「貴様!警告する!!そこから一歩でも城に踏み出したら攻撃を開始するぞ!!」
そんなことを言われたが、無視を選択した私の耳には届かない……まあ、届いてるんだけど、届いたうえで無視して一歩踏み出すと。
「よかろう!ならば死ねッ!!かかれぇッ!!」
そんなことを言って兵士が突撃してきた。
「大変だ。エルフの兵が襲ってきた!」
「はぁ……」
フカセツさんはため息をついているが、襲われたのだから仕方ない。そう仕方ないのだ。そう思いながら軽く全滅させたのだが。
『レベルが上昇しました Lv.124→125』
『条件を達成しました【古竜人】に進化できます』
───お?




