ep81 森の中のお家(複数)
アルタ大陸に上陸後、早速港町を飛び出し近くに見えた森に突撃した私とフカセツさん。フカセツさん的には町を十分探索した後に付近を探索したかったようなのだが、私がさっさと町を出ようとするとしぶしぶついてきた。私が「別についてこなくてもいいんだよ?」と聞くと「いえ、今回はついていこうかと」と言われたので、まあ彼女がいいなら私も気にしないことにしよう。
「ふむ………こんなもんか」
森に入って数体の魔物を狩ったが、絶妙に手ごたえがない。もちろん、中央大陸の敵よりは強いのだが、ルド大陸は弱い、といった感じだろうか。
「マズいぞフカセツさん。飽きてきたかもしれない」
「……………飽きてきた、ですか」
しゃがみこんでモンスターのドロップ品やら植物やらを観察していたフカセツさんが、私の言葉に反応し、ゆっくりと立ち上がる。
「では、踏破速度をあげましょうか」
地面からむしった草をインベントリにしまい込みながらそう言うフカセツさん。
「………ねぇ、その草って何に使うの?」
「草って………調合アイテムですよ、これ。どうやらこの森の植生は中央大陸のそれとは少し違うようで、見たこともない植物がいくつかありました」
若干あきれたような顔をしながら私に解説をしてくれるフカセツさん。正直私はそのあたり一切触っていないし、調合、あぁあったなそんなのくらいの感想しか抱かないが、フカセツさんからしてみればそれなりに興奮するものだったらしく、若干元気がいい。
話をしながらフカセツさんがテクテクとこちらに近付いてくる。そして私の目の前、10センチくらいのところまで来てやっと止まった。
「なんか…………近くない?」
そのまま私の首に両腕を回して一言。
「さあ、どうぞ」
「……………え?」
……………え?
「どうしたんですか?どうぞ抱き上げてください」
「え?あ、ああ」
抱き上げる?急にどうしたんだ、まさかそういう気分なのか?ちょっと私にそういう気はないんだけどいやそれでもなんだかちょっとドキドキ──
「?どうしたんですか?初めて会った時にもやったでしょう?なんだかんだ、これが一番早いと思うのですが……………というか、アヤさん今レベルいくつなんです?」
始めたあった時………ああ、イベントの時のか。すっかり忘れていたが、確かにフカセツさんを抱いて走ったことがあったっけか。
「え、なに、あれハマったのフカセツさん」
「………いいえ。そういうわけではありません。効率を重視した結果ですよ」
まあ、確かに効率はいい。せっかくの提案だし、ここは乗ることにしよう。
「じゃあ、よっと………行くよ?」
「はい」
フカセツさんを持ち上げ、出発前に一言確認すると、フカセツさんは想定される加速に身構える。
「よーい、どんっ」
「…………ッ!はやッ!!」
※
森の奥。フカセツさんを抱えて走ること数十分。そして私が木ばかりの景色に飽きだしてから数分。遂にその景色に変化があった。
「お、なんか建物」
「あれは…町、というよりも……………国?」
私が凄まじく低い語彙力で感想を口に出してしまったのも仕方ないだろう。なんとびっくり、目の前には植物と共存してますよ感を全面に押し出した城とそれを囲む建物が広がっていたのだ。
「すごいねこれは。フカセツさん。これに題名をつけるなら何てつける?私は、人類と植物の共存レベル100でいこう」
「なんですか急に……………そうですね。人類が滅びて500年後……………とかですかね?」
「ダメじゃん!」
「え?そうですか?自分で言っておきながらなかなか的を射てると思いますよ。ほら、遠目からも見える、あの城に巻き付いてる凄まじく太い……………ツタ?なんか実にそれっぽくて」
「えぇ……………いやまあ確かにそうだけどさ……もう少し人類側の目線になって考えようよ。人類としてさ」
「……………」
なんだ、どうしたフカセツさんその目は。まるで、「お前の急な無茶ぶりに対応したのに文句まで言われるのか」とでも言いたそうな眼だな。
「こほん、まあいい。さっそく言ってみるとしよう」
「………はあ、そうですね」
これを書いてる途中、パソコンのキーボードとマウスとモニターと、近くにあったiPadにコーラがこぼれました。絶望




