表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cockasite online コカサイト・オンライン~悪役ムーブで竜王に至る~  作者: こひる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/82

ep78 成長?とリザルト

 大剣を構えるリュティ。そのリュティに私は正面から突っ込んでいく。その手に構えられた大剣は見覚えのないもの。少なくとも秋月シリーズのそれではない。どちらかというともっと質素で、正直弱そうなもの。しかし実際はわからない。秋月シリーズを使わずにこの大剣を使っているのだから、なにか相応の理由があるはずだ。


 ギャリィッ、という音とともに私のナイフとリュティの大剣が衝突し、火花を散らしながらリュティがほんの少し後ろに弾かれる。そのまま二度、三度連撃を繰り出し。


 「…………?」


 後ろに大きく飛びのく。

 なんだ、どうなっている?なぜリュティの大剣はすでにボロボロなんだ?これではまるで、()()()()()()()()()()()()()()()()。いや、そんなはずは………しかし……。


 「確かめてみるか」


 体勢を立て直し、大剣を振りかぶり、私めがけて大剣を振り下ろそうとしているリュティ。その大剣を躱し、大剣の腹に横から一撃を叩きこむ。


 「スラッシュ」


 私のスキルによる攻撃を横から受けた大剣は、バキンッという音を響かせながら、何とも簡単にへし折れた。正確には、刃の大部分がポリゴン片となり消失した。こうなればどうにかして修理をしないとこの戦闘中にまともに使う事は不可能だろう。


 「………ッ」


 その大剣を見て、慌てたような、ほんの少し申し訳ないような顔をするリュティ。


 「……ふむ」


 少し下がり、リュティに問を投げかける。


 「これは………なに?まさか舐めプとかそういうものじゃないんでしょう?」

 

 「…………うぅん、えと…」


 なんだ?歯切れが悪い。もしや私の早とちりか何かだったか?実は武器を破壊されると発動するスキルか何かがあって、ここからが本番とかそういう話だったりするのだろうか。

 そんな考えがよぎったが、リュティが言いにくそうにぽつりぽつりと語りだした説明によってそれは間違いだったと知らされる。

 曰く、PKしてきた奴らが復讐のために集団で襲ってきて敗北、凄まじいデスペナルティとともに大剣もドロップしてしまったのだという。さっきの大剣は間に合わせのためにそこらの武器屋で買った安物らしい。


 「その…………ごめんなさい」


 「ん?どうしてリュティが謝るの?」


 説明が終わった後、申し訳なさそうに謝るリュティ。


 「負けちゃったし、アヤの顔に泥を塗ることになったかも……?」


 そんなことを言い出すリュティ。まったく、見当違いなことを気にするものだ。そもそもその程度で泥が塗られるほど大きな顔があるかも疑問だというのに。


 「ははっ、大丈夫だよそんな事気にしなくても。それよりも、どうやってそいつらに復讐するかを考えないとね」


 復讐は何も生まない、なんてよく言われるものであるが、先に復讐をしてきたのは相手の方だから私たちのはノーカウントでいいだろう。うん、そうだなノーカンだ。


 「そのことなんだけど…………アヤ、一旦復讐は私に任せてくれないかな?あ、もちろん私ひとりじゃ無理そうなら手伝ってほしいんだけど………」


 ほう、どうやらリュティは思った以上に負けず嫌いなようだ。


 「もちろん構わないよ。なんなら、気のすむまで何回もトライすると良いよ」


 「あ、いや…………復讐できないのが一番いやだから、ちょっと一人でやって無理そうなら助けてほしいんだけど…………だめ?」


 お、おう。すごいなこの子。いや、言われてみればその通りか。確かに復讐自体の失敗は一番避けたいな。というか、この子がここまで自分の意志を持った行動を私に言ってきたのは初めてではないだろうか。なんだ、私たちの中が深まったのか、彼女の何かが変わったのか。どちらにせよいいことだ。


 「ふふふ、もちろん構わないとも。ああそうだ、そういえばこの前よさげな武器を見つけたんだけど、今大剣が無いならいるかい?それとも、そういう手助けも初めはナシにするかい?」


 「!ううん、それは欲しい」


 「OK、じゃあこれが終わったらあげよう」


 なんだなんだ、喜びに目を輝かせおって。可愛いじゃないか。今がイベント中じゃなければ撫でてみていたところだ。

 よし、じゃあとりあえずイベントをさっさと終わらせることにしようか!






 第二回イベントトーナメント。結果はなんの予想外もなく私の圧勝だった。イベントの後、リュティに鬼神からドロップした神刀ヤシオリを貸してあげると、驚きと感謝の入り混じった表情をしながら「ほんとにいいの?」と聞いてきたが、表情がころころ変わって可愛かったからいいよ、と言ったら視線をプイとそらして感謝の言葉を呟くと、さっさとどこかに行ってしまった。


 そして今はイベントの報酬を確認しているのだが。


 「再生の命石、選べるチャームに金メダル……………ふむ?」


 選べるチャームとやらはバトルロワイヤルの報酬のようだ。10種類の中から好きなアクセサリ―………というより人形?を選べるというもので、恐らく私が出会ったアラハルアが欲しがっていたものがこれの中のどれかなのだろう。正直私はそそられるデザインのものが無かったので、武器の柄に取りつけることのできるらしい、デフォルメされた小さな猫の人形を選びインベントリにぶち込んでおいた。

 続いて再生の命石。おそらく今回のイベント報酬で一番価値があるのはこれだ。トーナメントで8位以上。準々決勝まで進んだプレイヤーが貰えるこれは、なんとデスしても復活できるらしい。このアイテムを所持していると、デスしても5秒以内ならばこのアイテムを消費して復活できる……………と説明に書いてある。


 「将来導入予定の復活アイテムのチラ見せ………とかかな?」


 まあ、なんにせよかなり強いアイテムだ。というか、もしやこれ持ってると死んでも5秒間死体が残ったりするのか?そのあたりどうなんだろう。


 そして最後に、金メダル。トーナメント3位以上のプレイヤーがそれぞれ銅メダル、銀メダル、金メダルを貰えるのだが、正直これが一番いらない。微妙にでかくて邪魔だし、そもそもこんなものを身に着けるなんて恥ずかしい。ご丁寧に、『壊れにくいように各種耐性を高水準で持っています!』なんて説明文がついているのでさらに微妙ポイントを追加だ。他にもっと気を回すことがあっただろう。迷いなくインベントリの肥やしである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ