ep77 やっと始まるトーナメント
Cko第二回イベント、大規模トーナメント。バトルロワイヤルからずいぶん時間がたった気も、そうでもない気もするが、ついにその日がやってきた。総勢200名の勝ち抜いたプレイヤーたちによる最強を決める戦いだ。
ここでは、まずはじめに各ブロック5位以下8以上の100名でトーナメントを行い、そこで3勝した奴らを各ブロック4位以上の100名と合わせて最強を決めるトーナメントを行うというちょっとややこしいものだ。
「ま、ひとまず身内の試合はしばらく後かな」
「ん」
「そっすねぇ」
イベント特設空間。トーナメントの控室と呼べばいいのだろうか、その空間で私、リュティ、奴隷は目の前の画面を眺めていた。今一斉に行われている下位のプレイヤーのトーナメント第1回戦。そのうちすきな試合を観戦できるようだ。
「知り合いもいないし正直興味は無いんだけど、2人は見たい試合とかある?」
「ない」
「強いて言うならお二人が見たいです!」
「じゃあ私たちは待機かなぁ」
「スルーですか………ぐふぅ」
変なことを口走った奴隷に対しリュティがパンチを食らわせているが、とりあえず私たちは全員上位トーナメントなのでしばらく待機だ。
※
「はぁ、やっとか」
トーナメントが始まって2時間ほどたった後、やっと上位のトーナメントが始まった。別にこの観戦エリアで待っている必要は無いのだが、なんとなくずっと待ってみたのが間違いだった。正直すでにちょっと疲れた。
「それでは、俺そろそろ行ってきます」
そういいながら立ち上がる奴隷。
「ん、出番?まあ適当に頑張ってねー」
「はい!」
私とリュティはシード枠に入っており、試合は2回戦からになっている。暇つぶしに試合を観戦しようかと画面を少し操作したとき、見覚えのある姿が目に入る。
「ん、この子は…………」
「どうしたの?」
目に留まったのは、バトルロワイヤルにて上位入賞のために私に引っ付いていた女性プレイヤー。たしかプレイヤーネームはアラハルアとか言ったか。
彼女の試合を映している画面をタップして拡大すると、画面上部に「アラハルアvsスカーレハット」と表示されていたので間違ってはいないだろう。
「……………なに、知り合い?」
画面を眺めていると、横からリュティにそう問われる。
「ん?ああ、ちょっと同じブロックで戦った子を見つけてね」
「へぇ………」
なんだろう、リュティが若干不機嫌になった気がする。気のせいかな?
「あー………リュティはそういう子はいなかったの?」
「……いない」
とりあえず話題を変えようと質問を投げかけてみるが、あまりうまくいったとは言えない気がする。
「そ、そっか」
よし、気にしないことにしよう。気のせいだね、うん。
拡大した画面を閉じ、奴隷の戦闘カメラを選択する。相手は見覚えのない女性プレイヤーだ。
「が、がんばれー」
※
上位トーナメントが順調に進み、2回戦から参戦した私は次に6戦目。準決勝になる。私もリュティも順調に勝ち進んでいき、ここでリュティとの戦闘となる。このイベントの形式上、リュティの戦闘シーンなどは見れていないし、警戒はしておくとしよう。
全ての5回戦が終わったのか、準決勝が始まる旨のアナウンスとともに対戦用の特設エリアに飛ばされる。
移動が終了し、視界が開ける。トーナメント用の特設エリアは遮蔽も何もない開けた平原のような場所。こうも開けていると、私のようなアサシン系の軽戦士なんかは不利じゃないだろうかと思うのだが、そんなことは関係なしとばかりにトーナメントでの戦いは全てこのフィールドで行われる。
「さて、やろうか」
「ん」
目の前十数メートル先に出現したリュティを見据え、岩竜のナイフを構えるとリュティも大剣を構える。しかしその大剣が「秋月シリーズ」のそれではない。
「ふむ………」
まあ、とりあえず勝負開始、だな。




