ep72 最果ての二階にて少女は嗤う
鬼神ちゃんの本来の倒し方はまず分身を倒して弱体化させて~とか、鬼神ちゃんは実は昔人間で~とか、鬼神ちゃんが世界を嫌っているのは~とか、四大特異点認定された理由とかを閑話で書こうかと思ったのですが、あまり設定ばかり書くのもよくないと思いやめました。どうぞ褒めてください。
中央大陸南端、現在Ckoトッププレイヤー達の最前線の町であるノインの町から少し東に移動した先にある、巨大な塔のような構造をしたダンジョン、「果ての塔」。中央大陸において唯一推奨レベルが100以上であるそのダンジョンには今日も今日とてプレイヤーが挑戦する。だが、その人数も次第に減りつつあった。理由としては至極単純。そんな高難易度のダンジョンに挑める者がほとんどいないからだ。多くのものは記念に挑戦し、こっぴどくやられて諦める。大部分が既に開拓されているとはいえ、いまだ中央大陸には未開拓の部分が残り、プレイヤーを楽しませる要素など十分にあるのだから、わざわざ勝ち目のないダンジョンに挑む必要もない。
しかし、一部のトップ層とそれを狙うプレイヤーキラーは例外であった。
「クソッ!またお前かよ意味わかんねぇってッ!」
そう言い残し、プレイヤーがポリゴン片となって消える。そのプレイヤーの怒りをむき出しにした表情とは対照的に、傍らに立つ、身の丈ほどの大剣を引きずるように持つ少女は満足そうに笑う。
「むふぅ~、やっぱりこれはこれで面白い」
最近はめっきり雑魚狩りばかりになってしまってたけど、そこそこ強いプレイヤーを相手にするのも歯ごたえがあって楽しい。
「でも、プレイヤーももう減ってきちゃった」
現段階でこのダンジョンを本気で攻略しようと思っている者は数少ない。その攻略者を観光客もろとも叩きのめしているのだからプレイヤーもすぐにいなくなるというものである。
最果ての塔の2階にて、目に見えた範囲のプレイヤーを適当に惨殺し終えたリュティは一息をつく。
「さて………と、どうしよう」
このまま帰るか、否か。まあ全然このまま帰ってもいいんだけど、今日は何となくこのままダンジョンに挑戦してみようかなって気分になってる。
「行ってみるか」
こういう時は自分の気分に従うものだ。
クピクピとHP回復のポーションを飲みながら減少したHPを回復する。空になったポーションの瓶を床に投げ捨てるとすぐにポリゴン片となって消えてくれるので環境に優しい。リアルでもこんな感じにすぐにゴミが消えてくれたら部屋の掃除がもう少し楽になると思うんだけど。
どうでもいいことを考えながら石造りの迷路ような塔をトコトコ歩いていると、三メートルくらいの動く石造……よくあるゴーレムのようなモンスターが現れる。こいつが最果ての塔の二階によく出現するモンスターなんだけど、正直タイマンならどうとでもなる。
ゴーレムがゆっくりと拳を振り上げ、私めがけて振り下ろすが、それを軽く回避し、地面に叩きつけられたままのゴーレムの腕を足場に飛びあがり、ゴーレムの頭の上から大剣を叩きつける。
「パワースラッシュ」
ゴガンッっと固い音が響き、私の大剣がゴーレムの顔?に食い込む。こいつが生物ならこれで死んでくれるのだが、残念ながらこのゴーレムはこの程度ではまだ止まってくれない。大剣を叩きつけた態勢のままさらに大剣とそれを持つ両腕に力を入れ、体を浮かび上がらせる。そのままゴーレムに食い込んだ大剣を足場にして飛び上がることで、私を捕まえようと迫るゴーレムの両腕を回避し、落下の瞬間に大剣の柄を掴み、スキルを発動する。
「パワーウェイブ」
そういえば、フカセツの知る限り「パワーウェイブ」なんて名前のスキルを使っているのは私だけみたい。珍しいスキルなのかな?普通にポイントで解放できた気がするんだけど、よくわからない。何となく特別感があっていいね。
まあ、そんなことは置いておいて、スキルを発動した瞬間ゴーレムの頭部が吹き飛び、戦闘は終了。やっぱり一対一ならそれほど脅威じゃない。この程度なら三階への階段を見つけるのも時間の問題だし、サクサク進んでいこう。
もうすぐ第二回イベントのトーナメントが始まるし、それまでにできるだけ強くなっておかないと。アヤに負けるならいいけど、それ以外の人に負けるなんて笑えないギャグだね。




