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Cockasite online コカサイト・オンライン~悪役ムーブで竜王に至る~  作者: こひる


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ep69 鬼神戦 其の壱

 二本のナイフを両手に装備し鬼神に対峙する。アナウンスからしてもこいつが鬼神で間違いない。とりあえず手数を増やすために始めから二刀流スタイルでいこう。


 ナイフを構えて鬼神を見ていると、ポ、ポ、ポ、と鬼神の周りに四つの青い火の玉が出現し、やがて人型になったかと思うと、鬼神そっくりの姿に変化した。


 「おい、まさか鬼神の分身ってこういうことじゃないだろうな………」


 鬼神の両サイドに新たに二体ずつ現れた、合計四人の鬼神、もともといたのと合わせて五人の鬼神と対峙した私は顔を引きつらせながらローブ型の神聖武器、神装ユーケイをバサリと羽織る。先のバトルロワイヤルでは装備としてしか使う機会が無かったが、ここでは出し惜しみせずに神聖武器たる所以を披露するとしよう。


 「ユーケイ、とりあえず「速度」で」


 瞬間、体が軽くなる。


 「竜化」


 翼が生え、爪が伸び、全ステータスが上昇する。


 神装ユーケイ、フード付きのローブ型の神聖武器。普段は防御力が少し高いだけの防具なのだが、もちろん神聖武器として特殊能力がある。それは指定したステータスを三分間、自分のレベル分上昇させるというもの。私のレベルは今109なので、ステータスのAGIの値に109プラスされたことになる。よって今の私のステータスは。


 ──────



アヤ (♀)

種族:真竜人(竜化)

Lv,109


HP:135

MP:72

STR:133 (+30)

VIT:80 (+30)

INT:70 (+30)

DEX:68 (+30)

AGI:140 (+30) +109


 ──────


 という具合である。「竜化」とユーケイによって速度がほぼ倍になった私は力強く踏み込み、飛ぶように駆けだす。もしこの仮称分身があの時村を襲ったのと同じような強さを持っているなら、こいつら一人ずつ潰すよりも本体を叩く方がいいだろう。こういうものは本体を殺せば分身も消えるのが相場だ。

 鬼神に近付くと当然のように分身たちが私に攻撃をしようとするが、その中で、私が鬼神本体に到達するよりも先に私に攻撃が届きそうなのはほど近くにいた二体のみ。分身は武器を持っていないので拳を振りかざした二体の分身が私に近付く。

 さて、ここで一つ疑問なのだが、今の私とこの鬼神(分身)のステータス差はどのくらいなのだろうか。「竜化」にユーケイのバフまで乗せているため速度では私が圧倒的に勝っているようだが、それ以外は?ここは一度切り結んでみて確認を……いや、やめよう。本体優先だ。

 思考を切り替える。分身の攻撃自体を速度の観点から見るのであれば、今の私にはそれほど脅威じゃない。このゲームでは自分の速度に合わせて自信の動体視力も上昇するため、速度マシマシの今の私には分身の攻撃は少し遅いくらいだ。私の顔面を狙ったのであろう分身の一体の拳を身をかがめて躱し、もう一体の拳も身を捻って躱しながら、小柄な体を生かして二体の分身の間を縫うようにして本体に迫る。


 右手の岩竜のナイフを振りかぶり距離を詰める私に対し、鬼神はロングソードを構え、振る。凄まじい速度バフとそれに伴って上昇した動体視力をもってしてもなおギリギリ反応できる速度の一振りを跳んで回避する。鬼神の頭上を通過するような軌道の中、空中で身をひるがえし、鬼神の頭上から岩竜のナイフを叩きつける。




 「悔燼(かいじん)


 「っぐぅっ……………」


 ドォォォンという音が響き、私のナイフが鬼神に到達する寸前、私の体は爆炎とともに吹き飛ばされた。

 何とか着地し、ちらりとHPを見ると半分ほどまで削れていた。視線をすぐに鬼神になおそうとすると、目の前にはロングソードを振りかぶる鬼神が。


 「ッ!!」


 とっさに身をかがめて回避するがすぐに追撃が来る。今の体勢からでは回避が無理だと判断し、左手の秋月のナイフで受けようとするが、そのまま吹き飛ばされる。


 「ぐっ………クッソッ!!「竜の息吹(ブレス)」ッ!!!!」


 しびれる左腕と減少するHPを自覚しながら空中で鬼神に狙いを定め、「竜の息吹」を使用する。私の口から光が迸り、対象を焼き尽くすべく直進するが、鬼神はロングソードを持っていない方の手、左手をこちらへ向けると。


 「悔燼」


 その手から赤黒い火の玉が射出される。でかい。横幅四、五メートルはあるだろうその火球は私の「竜の息吹」と激突すると、「竜の息吹」を飲み込みながらこちらえと直進してくる。


 「まっ、ずいっ!」


 咄嗟に左手の秋月のナイフを火球に投げつけると、火球がその場で炸裂した。その爆発の余波で私がさらに吹き飛ばされ、鬼神とは川を挟んで反対の道まで吹き飛ばされたが、とりあえずは良しとしよう。

 助かった。あの火球がナイフを投げても「竜の息吹」同様飲み込んで直進を続けていたなら間違いなく私に直撃していたし、その場合私はその時点でデスしていただろう。咄嗟に出た自分の行動をほめながら、残り一割ほどにまで減ってしまったHPを「ヒール」で回復しつつ向こう岸にいる鬼神を睨む。

 強いな。近距離戦闘も強いうえに、当然のように遠距離攻撃まで備えてるのがズルい。


 そんなことを考えていると、分身たちが私を追って川を飛び越えてくる。


 「まあ当然追撃は来るよね」


 さて、どう捌こうか。正直分身の相手をしながら本体を倒すのは難しそうだぞ。分身と本体を分断するか……どうやって?うーん………さっきみたいに本体狙いがいいのかぁ?


 分身が私を包囲する。まあこれは問題ない。今の私の速度ならどうとでもなる。


 さっき少し切り結んだ感じ、さらに「憤怒」を使用すればいい勝負にはなりそうだったが………どうだ?ユーケイの効果時間は三分。それが終わると十分間のクールタイムがある。そうなったらかなり厳しい状況になるだろう。であるならば、やることは決まっている。


 「短期決戦ね、いいじゃないか」


 長引くよりずっといい。


 四方を鬼神の分身に囲まれ、攻撃が振るわれる。



 「憤怒」


 次の瞬間、私は分身の包囲を潜り抜け、本体に向かって駆け出した。



 ──────



アヤ (♀)

種族:真竜人(竜化)

Lv,109


HP:135

MP:72

STR:332 ((133 +30)*2)

VIT:110 (80 +30)

INT:100 (70 +30)

DEX:98 (68 +30)

AGI:558 ((140 +30 +109)*2)


 ──────

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