ep51 神聖武器
「やあ、みんな久しぶり」
聖女プラスアルファを殺した私は「隠密」を使用してその場を離れると、もはやお馴染みとなりつつあるツヴァイのスラム風の町にある適当な空き家を仮に、ホーム(仮)三号として、そこで他のクランメンバーと集まっていた。
いや、何回仮って言うんだ私は。
最後に私、奴隷、フカセツさん、リュティの四人で集まったのがずいぶん昔のことのように感じるが、実
はそんなに時は経ってないというのだから不思議だ。軽くみんなであいさつを交わすと、さっそくといった風に奴隷が口を開いた。
「いやいや、それにしてもおめでとうございます。聖女撃破ですねっ!」
「ああ、ありがとう」
聖女は倒した、しかしまだ終わりじゃない。倒したい奴はまだいる。
「さて、そんな事よりだよ。フカセツさん、例の四大特異点について何かわかった?」
なにやら調べる、と言っていたフカセツさんに進捗を聞いてみる。正直、私は他のプレイヤーの進捗だの、共有されてる情報だの、それ以上の情報だのは全くと言っていいほど知らないし、こういう時にはフカセツさんに頼るしかない。
「その件ですが、すみません。まだ有力な情報は見つかっておらず………」
私の問いかけにそう申し訳なさそうに答えるフカセツさん。
「いやいや、何も問題はないよ。というか、フカセツさん一人に丸投げしてたわけだし、流石にそれで十分な情報が得られるとは思っていないさ」
まあ、どうせ今すぐあいつと再戦で来たところで勝算は薄いのだし、地道に探すとしよう。
……………ふむ、勝算が薄いというか、そもそもどうやれば勝てるのだろう。昔のRPGゲームの敵か何かみたいにAだのBだの名前がついていたが、あれは複数体いるのを全部倒さないといけないのか、それとも何かギミックがあるのか。
「ラノベ、主人公の、剣………あれなに?つよい」
私が鬼神について考えを巡らせていると、ふとリュティがそんなことを言う。
「剣っていうと、あのどことなく神々しかった剣かい?」
「ん、そう」
剣が強い、そんな負けを道具のせいにする子供みたいな「あれは聖剣ですね」
───おっと?
「聖剣?」
フカセツさんが口走った聞き覚えのない言葉を…………いや、このゲームに限らないのであればむしろ聞きなじみのある言葉であるのだが、その言葉の詳細を問いかける。
「はい、リュティさんの言うラノベ主人公、というのがカイトというプレイヤーであるのであれば、その剣は聖剣でしょう」
「せ、聖剣?そんなのあるの………?」
おいおい、なんだその選ばれし者が使いそうな名前の武器は。絶対強いやつじゃないか。
「はい、少し調べたところによると、神聖武器、というシリーズの一つらしいですね」
「………ふむ。その神聖武器ってのは、他にどういうものがあるんだい?」
「わかりません」
なるほど、わからない…………わからない?
「えと………わからないというのは?」
「ええと、そもそもあの聖剣が本来まだ手に入るようなものではないらしいのです。ゲームを始める際、初期スポーン地点をランダムに設定できたことを覚えていますか?今は修正されていますが、このゲームリリース当初は本当にマップ全土の中からランダムだったらしく、その影響でたまたま入手できたようなのです」
ほーん。なるほど、つまりあれだ、ランダムスポーンでたまたま聖剣の前にでもリスポーンして、たまたま初期から強い装備で無双できたわけだ……………ずるじゃん。いや、私も人のこと言えないんだが。
「……………ずる」
リュティがそうこぼす。うんうん、やっぱりそうだよな、ずるいよね。
「私さぁ、神聖武器、欲しいかも」
ニヤリと口の端を歪め、そう呟く。
「よし。じゃあ、盗りましょうか」
私の言葉に呼応するように奴隷がそう言い、立ち上がる。しかし
「あ、言い忘れていましたが、どうやら神聖武器はドロップしないらしいですよ?」
……………マジかよ。




