ep24 いきなり聖女たん
「お帰りなさい、2人とも」
そう言ってホーム(仮)に戻ってきた私たちを出迎えたのはフカセツさんだった。
「ふむ、じゃあフカセツさんで」
「え、何がですか?」
「ん?お風呂か食事か的なやつじゃないのかい?」
「ち、違いますよ!!」
私たちを出迎えてくれたフカセツさんに小粋なギャグを飛ばしつつ会話をつなげていく。やはりこう反応がいいとついついいじってみたくなるのは人間の性であろう。
「あ、そうだフカセツさん。暇ならこれから一狩りどう?リュティも落ちちゃったし暇なんだよね」
「ああ、そうですね。たまには────ッ!?」
「ん?どうしたの?まさかベッドに……」
「何か……いえ、誰かが来ます。こっちに」
かなり慌てた様子のフカセツさんから推測すると、どうやらこちらに向かっている存在はそれなりにレベルが高いようだ。しかし、仮にこっちに来ているのだとすればいったい何の用で来ているのだろうか?そして早く感知のレベル上げたいな。今のフカセツさんかっこよかった。
ドンッ!!!
ホーム(仮)の扉が破壊された音に顔を向けると、ガシャガシャと鎧を鳴らしながら四人の男女が入ってきた。いや、正確に言えば鎧を着ているのは三人で残りの一人はなんだか神々しい雰囲気を纏いながらシスター服に身を包んでいるのだが。
その状況に私とフカセツさんが固まり、何も言えないでいるとそのシスター服の女が口を開く。
「はじめまして、私は聖女シュテアネと申します。罪なき人々を苦しめ、害を与えるあなたたちを粛清するよう任を受けましたので、どうかお覚悟を」
「はは、人の家の扉を破壊しておいてずいぶんな言い草だね。その破壊行為は粛清対象じゃないのかい??」
「ここはただの空き家で、あなたたちのものではありません」
言いながら私は考える。聖女とやらが私たちを粛清しにやってきた、つまりキルしに来たわけだが、これはどういうことだ?明らかにNPCの集団のようだが、もしやPKを重ねすぎると激強NPCが直々にキルしにやってくるとかそんなんじゃないだろうな?いや、ありそうだな……。そうだとしたら私たちに勝ち目はあるのか?いやいや、あったら意味ないだろ落ち着け、別の可能性もある。例えばそう!どこかでフラグを踏んで聖女イベントが始まったとか!!うーん、どちらにせよ今は状況が悪いな……。
「よし!」
気合を入れなおし戦闘態勢に入る。それを察知したのであろう騎士三人組が臨戦態勢をとり、私が強く踏み込んで────全力で後ろに飛んだ。
途中でフカセツさんも掴んでホーム(仮)から文字通り飛び出した。
「ひゃぁぁぁぁああ!!!!」
叫んでいるフカセツさんを無視しつつ隣の建物の屋根の上に着地。ホーム(仮)から全力で距離をとるべく走り出す。
「いったん撤退するよ!」
「た、戦わないんですか!?」
「今はね。戦うにしても全力でやりたいし、相手が複数人な以上リュティや奴隷にも協力してもらいたい」
言いながら後ろを振り返るが、どうやら追ってきている様子はない。
「追ってきている様子はないし、いったんログアウトしよう。今後のことはこの前作ったグループチャットで話そうか」
「わかりました」
※
アヤ
やばい、聖女に目をつけられた
忠実な奴隷
どういうことです?
アヤ
詳細はそのうち伝えるけど、とりあえず聖女とやらに目をつけられて、それに全力で抵抗したいんだけどみんながログインできる日ってある?
忠実な奴隷
俺は十八時以降ならいつでもいけます!
リュティ
ん、来週からなら
フカセツテン
みんなに合わせますー
アヤ
じゃあ来週の月曜の十八時にログインしてみんなで聖女一派を迎撃するってことでいい?
忠実な奴隷
了解です!
リュティ
ん、おけ
フカセツテン
了解です




