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ep11 イベント開始

 「さてと、行くか」


 Cko第1回イベント初日。アヤはゲームにログインして目の前に表示されているイベントのフィールドに移動する用らしきウィンドウのYesボタンをタッチした。


 「わっ」


 瞬間、ウィンドウからまばゆい光が放たれる。思わず目を細めているとだんだん光は弱まっていき、光が完全に収まったころには


 「……森?」


 恐らくこの森が特設フィールドとやらなのだろう。さっそく魔物を倒したいのだが、もしやこの森の中を歩き回って魔物を探すのかな?


 「グギャッ!」


 どうやらその必要はなかったようだ。がさがさと草をかき分けながら出てきたのは少なくともこのゲームではまだ見たことない魔物。緑色の肌に子供のような体躯をしたThe・ゴブリンのような魔物である。いや、というかゴブリンだろう。


 「さて、問題はこいつがどれだけ強いのかだが」


 とりあえずどうしようか?「憤怒」は一旦使わずに様子見するとしても、「付与(エンチャント)」くらいは使っておいた方がいいだろう。スキルはどうする?スラッシュ………いや、タイマンなら少し後隙はあるがパワースラッシュでいいだろう。しまったな、イベント参加と同時に隠密を発動していれば不意打ちから戦闘に入れたのに。


 「「付与(エンチャント):筋力強化」、「速度強化」」


 ゴブリンの動きをよく見る。右手に持った粗末な棍棒を振りかぶり突っ込んで来たのを危なげなく回避し、その横腹にナイフを叩き込む。


 「パワースラッシュ!!」


 ドゴォンッ!!!!


 『1Pt獲得しました』


 私のスキルを帯びたナイフがゴブリンの横腹に着弾すると同時、ゴブリンの体が()()()()()


 「うぇ………………は?」


 消し飛んだ。そう、消し飛んだのだ。ポイントも入ったからこれで倒せたのだろうが。


 「なんか………よわ」

 いや、落ち着こう。恐らく初心者さんの救済モンスターなのだろう。ポイントも1しか入らなかったし。きっともっとポイントを稼ぐにははるかに強いモンスターを倒さなければならないのだろう。と、とりあえずまずはこの推定最弱モンスターがどの程度の体力なのか見極めてレベルを測ろう。


検証結果

 付与なしパワースラッシュ 消し飛んだ

 付与なしスラッシュ    消し飛んだ

 付与なしスキルなし攻撃  一撃で死んだ


 「よし!もっと強いモンスターを探そう!」 


 さすがに弱すぎである。しかし、これで私が一ポイントも得られずにイベント終了なんて事態は避けられそうでとりあえず安心だ。だが、強いモンスターを探すといってもどうすればいいのだろう。さっきからゴブリンにしか会わないんだけど。


 「隠密」


 考えていても仕方ないし、走り回るしかないな。そう思った私は一応隠密をかけて走り出す。ステータスはAGIに多めに振っていたので体が軽い。目に入ったゴブリンは適当に狩りつつ走る。


 「!プレイヤー」


 少し走っているとなんか大きな二足歩行の豚と戦っている人がいたので思わず足を止めて木の陰に隠れ、観察する。とりあえずこの敵は推定オークとするとして、戦っている人たちはプレイヤーだろう。そもそもこの特設フィールドにはNPCは入れないし。


 「コニパス!10ポイントだ、絶対に狩るぞ!!」


 「おう!!」


 そんな風に仲間と声を掛け合いながらモンスターと対峙することには少し憧れるが、あいにく私にプレイヤーの知り合いはいない。考えると少し悲しい気分になったので極力彼らを視界に入れないようにしながら走り去る。また走りながらゴブリンを狩っていくとプレイヤーもちらほら見かけたが、それらも無視である。


 「お!」


 走りまわっているとやっと推定オークを発見した。


 「しかし3体か………」


 できればタイマンが望ましいのだが、まあせっかく見つけたのだ。喧嘩を売ってみようではないか。そう思いこそこそと近づく。オークトリオは「隠密」を使った私に全く気が付いていないようなのですんなり近づけたが、ここからが本番だ。オークの強さが分からない以上、全力をぶつけるのが最適だと思うのだが、実はついさっき走りながら「付与」を使ってゴブリンを倒してしまったのでまだリキャストはあがっていない。

 火力過剰なのに「付与」を乗せた理由?明らかに過剰な火力をぶつけると気持ちいいだろ?ほら、ダメチャレ的なね?ちょっと違うか。

 まあないものは仕方がない。とりあえず「不意打ち」の火力を見ようではないか。


 「不意打ち!」


 ドゴォン!!


 『10Pt獲得しました』


 「またかよ………」


 『オーク は 消し飛んだ』




 「よし………と」


 そのままの勢いでオーク三体を倒した私のオーク君の評価は「でかいゴブリン」である。だってどっちもスキルで殴ったら吹き飛ぶんだもん。そしてここまでやれば気が付くこともある。


 「もしや私って結構強いのでは?」


 さっきオークに二人掛で挑むプレイヤー集団を見かけたのだが、そのオークに私はタイマンで勝利できる。であるならば、そんな私は強い………?

 いやいや落ち着け、さっきのプレイヤーが弱いのかもしれない。取り合えず自己評価は中堅プレイヤー程度の位置にとどめておくとしよう。それよりも次の獲物を


 「………ん?」


 走り出そうと顔を上げた私の目に木々の隙間からのぞく岩山が映った。これまで森ばかりだったのだがどうやら別のフィールドもあるらしい。


 「あっちに行けばもう少し強い敵がいるのかな?」


 森が初心者ゾーンであの岩山地帯が中級者ゾーンとかかもしれない。そう考えた私は岩山の方角に走り出すのであった。

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