第肆話 デリアとエッグタルト
はい、俺ことラインハルトです。
8歳になりました。
兄弟の半数以上が結婚によって家を出たけど、
新しく嫁のアデルを迎えた新婚の長兄は跡継ぎの仕事に勤しんでいた。
親父のオイゲンはお袋と一緒に王都で宮廷工作に勤しんでいた。
今まで貧乏男爵家でいたのが、あら不思議、三年前とは大違いの伯爵家に陞爵。
宮廷から出る恩給もハネ上がり、
貧乏貴族男爵のとき、年金貨100枚だったのが、
年金貨1200枚になり、王国はそれでも好景気で沸いた。
では、なぜ好景気なのか?
帝国との十年に渡る戦費国債がここ2・3年で還し終えたからなのだ。
それにはカラクリがある。
男爵領としては大きすぎるアインスベルグ男爵領その七割が穀倉地帯に変わった。
大豆生産による醤油の開発に成功して、これがまた大ヒット。
だから、アインスベルグ家は子爵を飛ばして、伯爵家になったのである。
しかしながら、先年家を出た子供たちの今後のことを考えて、
幾つかの男爵家の爵位を得るべく、宮廷工作をしているのだ。
宮廷貴族やほかの領地貴族が気付いたときには、後の祭りという寸法だ。
貧乏貴族と侮り、何もしなかった報いを受ければいい。
親父とお袋、相当子供たちの婚姻の件で腹に据えかねていた模様。
宮廷工作が終わると、
そそくさと領地に戻ってきてザ・農家みたいな感じでいるけどw
俺とデリアは相変わらず森でお散歩中。
変わったことはデリアに魔法を教え始めたこと。
デリアのステータス
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名前:デリア・フォン・アインスベルグ
年齢:7
職業:男爵家四女
位階:1
HP:300
MP:300
筋 力:300
敏捷力:300
防御力:300
攻魔力:300
防魔力:300
能力/スキル
【武芸十八般】
【魔法全属性】
【知恵の泉】
【大精霊の加護】
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えっと、俺の下位互換的スペックでした。
でもって一般成人男性がオール20に対して300とレベル1の状態で15倍。
え、エグいです。俺が言えた義理ではないが、妹よ、どこに向かっているのだ!?
なので、今まで8人兄弟でしていた狩猟採取は、俺たち二人で片手間で行い、
余った時間は魔法講習や組手などの戦闘訓練に当てた。親父やお袋たちは知らない。
ホントどうしよ(汗)
妹のデリアにせがまれて、何か甘いスイーツをと。
んー、甘いものね。
そうだ!エッグタルトなんてどうだ!
あんまんに飽きてきたとこだし、ちょっと趣向を変えて
エッグタルトを作ってみることにした。
まずエッグ・フィリングは、全卵に砂糖のみとカスタードを準備。
タルト生地はラードを織り混ぜる。
何層にも織る。
コップで形を取る。
タルト用の形はあるが、小さなものがないので、魔法でごにょごにょ。
形に敷き詰め、焼く。
半生の頃合いを見て、
エッグフィリング(カスタード・全卵&砂糖を混ぜたもの)を
タルトへ流し、再度焼く。
軽く焦げ目がついたら、出して蒸しやく。
完成、エッグタルト!
「ほわぁ〜、このお皿みたいなパンがサクサクして真ん中の甘〜い卵のプルプルと合って
最高ですぅ〜」
デリアや、その食レポ的な言葉どこで覚えた?
でも、美味しければいいかw
そんなこんなしているうちに、親父に呼ばれた。
親父の執務室にはお袋もいた。
「ラインハルト、お前のおかげで
我がアインスベルグ家も伯爵家になり、ある程度余裕が出てきた。
そこでだ・・・王都の学校に行ってみないか?」
「えーっと、それは家長としての命令ですか?
それとも父親としてのお願いですか?」