第1話 新たな手足
ある高校のなんでもない放課後。その教室は混乱に包まれていた。人が、1人ずつ消えていくのだ。最初は、グループで談笑していたうちの1人だった。
「〜〜〜だったわけよ、それでーーー」
「ははははっ、オモロすぎw。んで?……え?海人?」
この話の主人公、小松翼が椅子や机の下を一応確認するが、どこにもいない。そしてグループのもう1人、金子浩一が青ざめた顔で立ち尽くしていた。
「海人どこいった?w」
「……俺、見たぞ。消えたんだ、パッて」
浩一の妄言に「なわけない」、と反論しようとしたその時、教室から次々と声が上がり始める。
「いやぁあああああああ!!!水希ちゃん!?水希ちゃん!」
「Oh my god! He disappeared!! What's happen!?」
この母国語が出てしまっている男は、留学生のマイケル。いつもはそこそこ流暢な日本語を話しているが、混乱しているようだ。
その後も1人、また1人と消えていき、混乱はヒートアップしていく。そして教室に残った人間が少なくなるにつれ混乱は落ち着いていき、遂に最後の1人になった。
「ふふ、何が起こっているのかサッパリわからない。俺も消えるのか?消えたとして、どうなる?分かっているのはただ1つ、この退屈な日常からようやく解放されそうだということだけだ。
さぁ!早く、早く俺も連れていけ!願わくば、刺激の多いところに!」
言い終わるタイミングで、最後の一人である六金亮司が姿を消した。
主人公視点
「う、あ…痛ってぇ……」
頭が痛い。普通の頭痛じゃない。脳がひっくり返ったような、直接低周波マッサージを受けているような、気持ちの悪い痛みだ。そして、体にもおかしなところがある。なんというか…俺たちが、手や足を最初からなんの違和感もなくあるものとして使えるように、俺の体に貯風庫がある。名前も貯風庫として脳が認識してる。反論されても、そうなものはそうとしか言えない。違和感が無いのが逆に違和感なくらいだ。
どうやら、これは体に受けた風のエネルギーを貯めて再放出できるというものらしい。今は、少しもエネルギーが溜まっていない。
周囲に目を向けてみると、どうやらここは地下のようだった。窓がひとつも無い石の部屋で、上にあがる階段だけがある。
「翼!起きたのか!」
「おう…陽向か、おはよう」
話しかけて来たのは八島陽向。一番の親友だ。
「なぁ見てくれよ、俺魔法使いになった!まだ18歳だし、童貞でも無いのに魔法使いになれたわ!」
ゴウッとバレーボールくらいの大きさの火の玉が出現した。驚いたが、俺の貯風庫のように陽向も火が使えるようになっているのだろうとすぐに納得した。
俺らの他にも、自分に発現した超能力を見せあって盛り上がっているグループがある。あれは…マイケルと武藤雄樹か。マイケルは憎めない陰キャ留学生で、武藤はオタクだ。俺もオタク気質な所があって、仲良くなりたいのだが人見知りが出てしまってまだ話しかけれずにいる。
「水希ちゃあああああん!よがっだぁ!死んだかと思ってぇ!」
「うぐっ、苦しいよ…」
不藤亜美が楽間水希に抱きついて締め上げる。不藤はいつも他人の機嫌を取っていて俺はあんまり好きじゃない。いや、これは俺の先入観がそう見せているだけなのかもしれない。でも好きになれないのは事実だ。クラスでは人気がある。僻んでいるだけなのかな?w
「マイケル氏,マイケル氏!吾輩のスキル、《遊〇王》だったでござるww」
「Wow!これ名前付けたヒト、頭悪いネ!Haha!ワタシはexplosion、《爆発》ダタヨ!」
爆発と聞いて、陽向がそっちに興味を示した。
「爆発!?見せて!」
「ア…いですよ!」
ボン!!!
と、大きな音が部屋に反響する。ちょっと鼓膜が痛い。そして同時に部屋中の注目を浴び、陰キャなマイケルは顔を赤らめた。
「Oh…ここでやることじゃナカタですね…I'm sorry…」
クラス18人全員分の名前、スクールカースト、性格、スキル、スキルの詳細を下に書きます。長いので見なくても大丈夫です。見ていない人にも分かるように続きを書きますので!あと、スクールカーストはだいたいの、です。
1.阿部春奈(中、大人しい)《超拳》ための後に強力な一撃を放つ。その後は激しい疲労に襲われる
2.伊藤海人(上、アクティブ、自信過剰) 《召剣》自分専用の剣を呼び出せる。切れ味落ちず、刃こぼれせず。使用制限なし
3.尾城結衣(中、アクティブ) 《索敵》自分の半径500m以内の興奮している生物の位置を把握する。情報は共有できる。入ってきた情報量が多いとパンクする。一応使用制限なし。金子の彼女
4.金子浩一(上、大人しい) 《ハイジャンプ》高くジャンプできる。使用制限なし。落下ダメージ無効。3段ジャンプまで可能。ジャンプ中はどの距離でも目の焦点を合わせられる。尾城の彼氏
5.菊澤悠斗(下、アクティブ) 《影魔法》生き物の影に入り込める。夜の間は光に照らされていない場所ならば入り込める。影の中にいる間は呼吸不可で、移動しかできない。しかし無敵
6.小松翼(上、アクティブ) 《貯風庫》自分に受けた風のエネルギーを貯めることができる。貯めたエネルギーは風として再び放出可能。主人公
7.田島裕介(中、大人しい、陸上部) 《泥沼》視界に入っている地面を泥沼化させられる。地面の硬さによって泥沼の体積が変わる。やりすぎると疲れる
8.土谷智樹(上、大人しい、デブ) 《カウンター》攻撃を認知すると、反撃する。ダメージを通すには、不意打ちするか使用者の力を大きく上回る力で攻撃するしかない。
9.内藤健二(下、大人しい、ビビり) 《無敵》最大10秒間、動けなくなる代わりに無敵になれる。この秒数はスキルを使っていない間、1分経つ事に1秒回復する。
10.半澤嶺二(中、大人しい)《死者蘇生》自分の指1本と引き換えに死者を1人蘇生できる。苦痛は感じない
11.不藤亜美(上、アクティブ、他人思い) 《リジェネ》半径500m以内の自分が仲間と思っている者に対して、継続的な回復をかける。やりすぎると疲れる。《死者蘇生》と同じく、自分の命と引き換えに死者を1人蘇生できるが、本物の《死者蘇生》と違って苦しみ悶えてから死ぬ
12.本庄早苗(中、アクティブ) 《マーキング》同時に2人まで、任意の生物の位置がわかる。使用制限なし。
13.マイケル・ロビンソン(下、大人しい、やるときはやる) 《爆発》自分の半径200m以内の任意の場所を爆破できる。また、自分の身体の一部と引き換えに自分を中心とする大爆発を起こせる。自身はこの大爆発によってダメージを受けない
14.武藤雄樹(中、オタク)《遊〇王》モンスターを召喚する。同時に1体まで。モンスターが殺された場合,激しい頭痛を感じる.いつでもモンスターを消滅させられる.
15.楽間水希(中、大人しい、キレたら何するか分からない) 《水魔法》自分の半径1000m以内の水を意のままに操作できる。空気中の水も可能。生物に含まれる水は操作不可。水が無ければ無力
16.陸田奏(上、アクティブ) 《ヤクザキック》ポケットに手を突っ込んだ状態で前蹴りをすると、狙った相手に必中する。しかし、大きな隙ができる.使用制限なし
17.六金亮司(無、サイコパス) 《痛み返し》自分が食らっているダメージと同じダメージを任意の相手に食らわせられる。使用制限なし
18.八島陽向(上、アクティブ、めっちゃ陽キャ) 《火魔法》魔力を燃料に火を起こす。主人公の親友.
クラスは大まかに3つのグループに別れてます。
伊藤金子小松土谷陸田八島グループ
阿部尾城田島不藤本庄楽間グループ
菊澤内藤半沢マイケル武藤グループ
サイコパス六金くんは友達いません。