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調べてみた

わかりづらい表現は良い文章なのか?飾りの言葉から考える文章表現

作者: 新布木 好流



白い

とても白い

もっとも白い


世間一般で小説と言うのは難しいものだ。

読みづらくわかりづらいことが至上とされ、わかりやすい軽い文章は軽蔑される。


悪文がよしとされる風習に、嫌気がさして始めたweb小説。


しかし上手い表現をしようと、様々なマニュアルを見るうち、次第に初心を忘れ難解化してゆく。


すでにシンプルな美しさはない。



それを助長させるのが、装飾語だ。


とても、さらに、もっとも、ただ、輝くような、非常に……。


過度な装飾は細やかな情景描写ならず。

むしろ著者、読者共に読みづらい悪文だ。


「白い」例を踏まえて書いて行こうと思う。




【白い】

比べるものはなく、白いが修飾する単語や文章の概念が白色であることを述べている。


【とても白い】

とても白いが修飾する単語や文章の概念が白色に近い、もしくは限りなく白色であることを述べている。すなわち白色はない。


【もっとも白い】

もっとも白いが修飾する単語や文章の概念が比較対象に比べて一番白色に近いことを述べている。


"白人はもっとも白い肌をしている。"


と言うのは、


"白人は有色人種(黄色人、黒人)に比べて一番肌色が白に近い色をしている。"


ともいい変えられる。


ただ白人の肌色の色は、白紙や絵の具の白と比べると、完全な白であるとはいい難い。


装飾語をつけると、"最上の"または"既存の単語単体よりも上"であるように感じることがある。

しかし、"とても"という余計な一言により白色が、白くなくなったように、本当にその言葉を、使う必要があるのか、考えなければならない。



文豪の作品には、ここで書いた過度な装飾と言わざる得ないものが多々存在する。

だが、読みづらいことはない。寧ろ、引き込まれてゆく。文字を読めば情景が浮かび、作者の伝えたいことが、理解できる。

それは文豪の技であって、余程、文章が上手くなければ装飾語は毒になってしまう。

多くの人は、よほど上手く書かれた文章を見て真似て失敗する。


いくら動画を見て、高速でキャベツの千切りをするのを、覚えたとしても、包丁を握ったこともないような人物が、真似れば千切りになるのは指に違いない。



特に文章と言うのは、良い表現を盗みやすい環境にある。

見て真似て、学び使い、そのうち自分の文章が文豪が書いたかのように錯覚し出す。

良いのが出来た、見てくれる人が少ないが分かる人が見れば分かるものだ。と変な自信を持つ。全く恥ずかしい。


例えば、そう思い上がっていた人物文章があるとする。


【窓を開けると白銀の世界だった。昨日までの黒い山々は雪景色を施し、眼下に広がるはずの田畑は雪に埋もれていた。

どんよりとした空、黒い山々と灰色の田畑。水墨画のように薄暗かった我が家の風景は一変した。

ここのところ続いた曇天はために貯めた雪を全て吐き出したのか、今日は暫くぶりの快晴だった。白い雪に太陽の光が反射して、一面が宝石の海のように美しかった。】


以上は雪の白さを書いたものだが、全く馬鹿馬鹿しい。どう?と聞かれてもどう言う意味と聞き返されるのがオチだ。


頭の中で考えて文字に書き起こしいる作者はこれで分かるだろう。果たして読者にどこまで伝わるか、わかったものではない。

文字のかさましは出来た。文章は読みづらくなった。くどい。そして何も解決していない。


細やかに描写することによって、わかりやすくしたつもりが、何を伝えたいのかわからない文章になることがある。


過度な装飾をしてゆくと一見、いいように感じる。

言い換え、作者が思うままに表現する。独特の言い回しで、書き綴る。

しかし、ゴテゴテした文章は、本当に高級なのかと、疑問に感じるようになった。



多くのカルティエやティファニー風の偽ブランド指輪が、本家よりも鉤爪を大きくみせているように。

美しさを表現するつもりが、下品さを生み出しているのではないか。


わかりやすい文章を、意識して書いてみようとすれば途端に、その難しさを、痛感したのだった。




読んでいただきありがとうございました。


参考 外山滋比古氏著【展望社 "文章力 かくチカラ"】

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