信じても良いのですか?
申し訳ありません
ちょっと長いです、かなり長いです
しかもあまり面白くないかも知れません
でも、読んでもらえるととてもうれしいです
よろしくお願いいたします
メリファルア王国、首都ファーラそこから数十キロ離れた町メルスマル
その町外れに地下へと果てしなく続く巨大な穴
いわゆるダンジョンと言われるもの
ダンジョンが町に近いためモンスターがあふれてくると
町に被害が出るためで冒険者ギルドが冒険者を集い
クエストを発注し賞金を出してモンスターを間引いている
モンスターはダンジョンの奥深くに行けば行くほど強くなる
ダンジョンは
1フロアーから10フロアーまでが 初級ランク
11フロアーから20フロアーが 中級ランクとされる
それ以上は上級ランクとなり25階層あたりまでは割と楽とされている
のだが今までに確認されているのは29階層まで
それ以上に潜って生きて戻ってきた冒険者はいまだいない
だが、名を売りたいため無謀な冒険者が後を絶たず悲劇が繰り返されていた
その、ダンジョン25階層を3人組のチームがあまり警戒感が無いまま歩いていた
「今日も今日とてダンジョン巡りっと、お宝、お宝、どこかいなー」
「アレッタは・・随分とご機嫌ですね・・・」
先頭を歩いていたアレッタが振り向き真面目な顔で
「そう見える?そっか、多分そう見えるのは普段教会にいると
聖女だ聖女だとあがめられて疲れてるからかも
でも、此処ダンジョンに居る時はただの魔法使いで居られるからね、らっくちん」
それを聞いた赤と黒の装いをまとった女はフンと鼻で笑って
「くだらない・・・」
「何ですって?」
二人はにらみ合う
一番後ろを歩いていた剣士と思われる少女がため息をつきながら前を歩く二人
間をすり抜け先頭に出て振り返る
「二人とも真面目にやって、かりにもここは25階層だよ
ふざけて良い場所じゃ無いんだよ」
「分かってるって」
「フン・・・」
そう言って踵を返しずんずん前を歩いて行く
「ねえ、サライラ」
「・・・・なに?・・・」
「ミラル姫、随分ご機嫌斜めじゃ無い?」
「・・・・・・・・・・・そ?」
「そっ・・・って?」
「あんな・・もの・・見せられれば・・普通は」
「普通は?」
「・・・怒る」
「長っ、ってそれって朝ギルドで見たAランクパーティのもめ事のこと?」
サライラと呼ばれた女性は、何も言わず頷いてみせる
「確かにあれは、酷かったよね」
私達は王都のギルドに所属するBランクの冒険者パーティーだったんだけど
回復役が聖王教会の聖女だったり、サライラは元SSランクの暗黒魔導士
今はランクを下げて魔法剣士をやっている
これだけでも普通じゃ無い、だけど一番が
双剣の女神の愛称があるミラル、彼女は大公の娘で所謂お姫様という貴族身分
ところが継母と折り合いが悪かったらしい、あるとき思いっきり継母を殴って
罪に問われた、しかし現国王がミラルを溺愛していたため無罪とされたが
家に戻ることは断固断り冒険者になるためにギルドをうろついているところを
私と出会ったわけだけど、こんな曰わく付きの人間二人が王都で活動する事は
目立つ分仕事にも支障が出る
そこで違う町のギルドに行くため旅に出て途中サライラと会ったんだけど
どちらかと言うとミラル姫を待ち伏せしていたような
気がするんだけど、とにかくこの3人でパーティーを組んで
昨日の夜にこの町に着いて朝一番にギルドに移動登録をしに行ったのだけど
・・・ギルドに到着して開いている受付を探していると、その時
「おい、何ちんたらやってんだよサッサと支度しろ・・このぼけが」
物凄い大きな声が聞こえ同時に何かが壊れる大きな音がする
思わず声のした方を見ると
大柄な背に剣を携えた男が怒り任せに椅子を蹴り上げる
その視線の先には尻餅をついた小柄な男?の子と壊れたテーブル
さっきの大きな音はテーブルが壊れた音か
「てめーみたいな役立たずに食わせる飯なんか無いんだよ
サッサと荷物持って来い」
怒鳴られているのはどう見ても子供に見える、何こいつら
見た感じ男2人女1人とあの子?他人のチームの事はとても言えないけど
バランス悪いな
で、なにあの荷物の量、空間拡張収納バックも持ってないの?
男の子がた立ち上がろうとしたのを回復役と思われる女に
足を掛けられまた転んでしまい手をブーツのかかとで踏まれる
男の子は我慢しているのか声を上げることもしない
「あたしの荷物に傷つけたら承知しませんよ、お荷物のくせに」
男の子は黙ったまま手をさすりながら荷物をまとめ慌ててギルドから出て行く
あれじゃ只の虐めだ、それにしても此処はギルドの中、冒険者はもちろん
何故職員は注意しないの不思議でしょうがない
ってやばいミラル姫が怒って飛びかかろうとしてサライラに抑え込まれてる
私も慌てて2人に駆け寄り宥めながら姫に受付をするよう促す
「まったく姫が怒るのも無理ないよね」
サライラは頷いて答える
「私達、聖職者はさ軽々しく感情を表に出さないんだ
そのための訓練もしている・・・でも姫が暴れ出しそうに
ならなかったら、あたしが切れてたわ 何あの受付も」
「・・・・・そう・・」
私達はギルドの受付にも腹が立っていた
さっきの男の子のチームが出て行った後、怒りが収まらない姫をなだめつつ
我々は受付カウンターに登録のため訪ねた
そこで目にしたのは笑顔のギルド嬢・・・
「いらっしゃいませ、ギルド登録ですか?」
受付の子は今までの事は何も無かったかのようにあっけらカーンとそう言った
まるで今あったことは当たり前だと言わんばかりに
「ねぇ、何なのさっきのは虐めじゃ無いのあれ、しかもあんな小さい子に・・」
開口一番、姫は受付の女にかみついた
「さっきの?小さい男の子?・・・」
受付嬢は少し考えて
「ああ、フラネルさんのところの雑用係のことですか?
あそこはAランクパーティー、厳しいのは当たり前じゃ無いですか?」
「「えっ??・・」」
姫と声が重なった
「それに見た目小さいですけど、あれでも歳は13歳です
じゃないとギルド登録は出来ないですから、最も登録されていませんけどね
それに虐めって大袈裟な
役立たずを役立たずって言っているだけでしょ、何が悪いんです」
「なにー?」
「役立たずを厳しくしつけるのって当たり前なんじゃ無いですか・・・
そんなだから皆さんもBランクのまま鳴かず飛ばずなんじゃないんですか?」
受付の娘はギルドカードを見て鼻で笑った
ブチッッ やば姫が切れた
「貴様っっ」
姫が受付の娘につかみかかろうとしてサライラに襟を掴まれ止められる
サライラは身長が高く180近い160ちょっとの姫では抗えない
「な、何ですか暴力ですかギルド追放になりますよ」
「・・あなたも黙りなさい・・」
「なっっ?」
物凄い眼光に蛇ににらまれたカエルのごとく受付嬢はたじろぐ
「何事ですか?」
かなり通る澄んだ大きな声がギルド内に響く
「ふ、副ギルド長・・・こ、この人たちが・・・」
「リム、あなたは奥に行っていなさい」
「でも・・・」
「聞こえなかった?それとも同じことを2回言わせたいの?」
うわっっこの人も迫力がある
かわいそうに副ギルド長という女性ににらまれ受付の女は奥に走って行った
「失礼をいたしました、私は当ギルドの副ギルド長を務めます
ジョアン、カーライルと申します」
副ギルド長は深々と頭を下げた
「ギルド登録ですね、双剣の女神ファラミラル様」
「間違えないで、ただの、ミラルよ」
そう言って姫はむっとする
「失礼いたしました、それでは移動登録をいたします」
副ギルド長は笑顔を崩さず作業を進め登録は無事に終わる
「2人とも何やっているのモンスターが来るわよ」
そう言って姫は手をクロスさせて長短2本の剣を抜きモンスターに向け走り出す
「ちょ、待って待って、まだ準備が・・・」
モンスターはゴーレム2体、私は防御魔法の準備をする
サライラも剣を抜き魔法を唱える・・その前に2体のゴーレムは細かく切られ
崩れ落ちる
「はや!!!」
サライラも魔法を慌ててキャンセルする
慌てるサライラは珍しくて面白い
「手応え無いわね、次行くわよ」
そう言ってズンズン歩いて奥に行く
本当はBランクのテリトリーは15階層あたりなんだけどね
「怒ってるねー、オーラが普通じゃない」
のんきにそんなことを言っていると
「・・・・置いて・行・かれる・・」
「やば、急ごう」
「ミラル姫まってよー」
私達は25階層を抜け順調に歩を進めていった
「このダンジョン思ったよりモンスター居ないですね
町外れに出来てモンスターがあふれるって言うから
どんなに凄いかと思ったけど」
私の独り言のようなつぶやきに
「元々、その噂で冒険者が集まって15階層~20階層あたりまでは
人があふれているからじゃない?」
先頭を歩きながらミラル姫が答える
なるほどねー
「でも・・・・大体どこのダンジョンも25階層からは様相が、がらりと変わる
モンスターの強さも半端じゃない私達も気を引き締めないと・・
アッという間に全滅だよ」
「分かってるって」
「それなら良いけど・・どうしたのサライラ?」
「何か居る・・・」
それは、27階層から28階層に向う途中で起こった
「なっ?なにあれ・・・サイクロプス?しかも2体」
距離はまだ少し離れているけど『一つ目の巨人』Aランクモンスターと言われる
巨人が暴れている
「どうする?29階層から下あたりに出るやつでしょ、なんでこんなとこに?」
「この距離ならサライラの魔法で先制できない?
あんたの魔法なら一匹潰せるでしょ、もう一匹の相手は私がするわ」
「アレッタも良い?行くよ」
「りょうか・・えっ?・・まって巨人の足下あれ?人?」
巨人の足下に這いつくばるような影が見える
「人?・・・3人・・いるみたい」
サライラが遠見の魔法を使い確認したらしい
「そいつらが下の階層からモンスター引っ張り上げてきやがったってこと?」
「しかも・・・巨人の・後ろ色々・・居るみたい・・」
「挙げ句の果てにパレードかよ、はた迷惑な・・・
仕方ない突っ込むわ、援護よろしく」
「ほいよ」
私は姫とサライラに支援魔法、身体強化+スピード強化を掛ける
サライラは目標から少し距離を取り範囲弱体魔法を放つ
放つと言うのは簡単だけど側にいる人間にかからないように
モンスターだけを弱体させるのはテクニックがいる
弱体魔法を受けたモンスターの攻撃ターゲットが足下の人間からサライラに向く
「流石、サラの魔法は一級品だ」
姫は巨人の視線が上に向いたのを見て一気に目標に近づき少し飛び上がると
剣を持つ両手を交差させ一気に巨人の腹部に炸裂させる
腹部を切り裂かれた巨人は前屈みに倒れ込むそこにサライラが
強烈な炎の弾を巨人の顔面に撃ち込み後ろに吹き飛ばす
それと同時にサライラも前に走り出る
「サラ、巨人もう一匹お願い」
「・・・・ん」
その返事を聞いて姫は巨人の後ろに居た十数匹の毒トカゲの群れに突っ込む
サライラは細剣レイピアを抜き剣に炎の魔法を這わせる
それに気づいた巨人が拳を放つサライラはそれを躱し
瞬間巨人の巨躯に炎の十字を刻む
「・・・・あぶ・・ない」
サライラに斬られた巨人が後ろ手に倒れる、その先には姫
「えっ?・・おわっ」
すんでの所で巨人を躱し最後の毒トカゲの首を落とす
「・・・・ゴメン・・」
姫は剣を鞘にしまいながら
「大丈夫よ、弱体魔法ありがとね」
サライラは笑顔で頷く
「ちょっと待ちなよ」
「何あんた達、助けてもらったのにお礼も言えないわけ?」
アレッタの大声が聞こえ何事かと思ったら、さっき巨人に半壊にされた
パーティーメンバーと言い争っている
あれ、?あのパーティーは
「うるせいよ、別に俺らが頼んだわけじゃねーし」
「そうよ、あんた達が勝手に倒したんでしょ、小物のくせに恩着せがましいのよ」
それを聞いてアレッタが激高する・・あんた聖女でしょが?
「何ですって?ってあんた達あの時のアホのAランクパーティーじゃない」
やっぱり、こいつらギルドで揉めてたバカパーティーの戦士と回復術士に魔法使い
「助けたって言うなら回復ぐらいしなさいよ、気が利かないわね」
あ、もう1人も大バカだ・・・
「ごめんアレッタ、ちょっと良い・・」
姫がこっちを向いて険しい顔をしている
「ねえ、あなた達って確か4人パーティーだったはずよね
もう1人は?・・あの子はどうしたの?」
「そう言えば、あの男の子は・・」
姫の言葉に沈黙が流れる
「答えろ、あの子はどうした・・・」
怒りを抑えず迫る姫の迫力に3人は気圧される
「し、知らねえよどっかでくたばったんじゃねえの」
戦士の男に続いて回復術士の女も
「あの、役立たずよ、勝手に逃げ遅れたんでしょ」
「きさまら、まさか置き去りにしたのか、何処だ?何処の階層だ?」
答えようとしない3人に、つかみかかろうとした姫を制して
サライラが回復術士の女にレイピアを抜いて突きつけた
「答えなさい、貴方たちはモンスターに
すでに殺されていたとギルドに報告もできるのよ」
サライラは女の額にレイピアを突きつけ力を込めていく剣先から血が流れる
「さ、30階層よ・・・
わ、私じゃ無いわよフラネルがモンスターの方に突き飛ばして・・・」
それを、聞いて姫は物凄い勢いで階層下に向ってい走っていく
サライラはレイピアを鞘にしまいながら「クズが」と言って姫を追う
おーおー2人とも熱くなっちゃって・・やば、置いて行かれる私も急がないと
「ちょっと回復して行きなさいよ」
「それに助けに行ったって無駄よあの役立たずしゃべれないんだから
助けも呼べないわ」
その言葉を聞いてブーツで踏まれても悲鳴すら上げなかったことを思い出す
話すことが出来ない子を見捨てたのか・・こいつら最低だ
私は、初級の回復魔法を回復術士の女にだけ掛ける
「後は自分たちで回復出来るでしょお偉いAランクパーティーさん・・・ジャーね」
「ちょっ・・」
まずい姫達に遅れた・・女が何か言っているが無視無視
あーもう姫たち見えないし
おかしい、29階層から30階層に一気に降りてあの子を探している
走るスピードを上げるために私のスキル俊足を使って30階層まで一気に降りた
それにしても変だ簡単すぎるモンスターがいない
29階層あたりのモンスターはあのバカどもが上に引っ張り上げたんだろうけど
此処30階層も閑散としている初めて来た場所だけど
こんなことはあり得ないはず
しかもあの子も見つからないこの階層に人の気配がまったく無い
最悪モンスにやられたとしても痕跡ぐらいあるはずだ・・
あれは・・目の前に光る物が見える立ち止まり手に取ってみると
折れた長杖の残骸・・光っていたのは杖の柄にはめられた石か
そのそばに血の跡
「やっぱり、此処で戦ったんだ」
でも、どこに?逃げたのか・・・隠れたのか
私があの子ならどうする?考えろ 考えろ・・・
「私なら下だ、上に逃げるのは不利と判断して下へ行ったんだ」
でも、ここからどうやって
「その判断は正しい・・・」
「サラどうして?」
「俊足は私も使える、それよりもそこの先の縦穴で一気に31階層まで
降りることが出来る」
「ほんと?」
「行く?・・」
そう聞かれて即座に
「当たり前でしょ・・・でもアレッタどうしよう、追ってくるよねあの子も?」
「大丈夫・・・」
そう言ってサライラはハンカチぐらいの大きさの紙を一枚出して
人型を折る
「・・『式神』この子にアレッタへ伝言を頼む・・」
「アレッタ・・私達・・下の・階層・・目指す」
サライラは式神をそっと地面に置くと「お願いと言った」
「これでいい、急ごう」
「OK」
走り出そうとしたミラルの足元に光る物が落ちていた
「ネックレス?」
そのネックレスをミラルはポシェットにしまう
「ハアー・・ハアー・・痛いよ・・どうして・・・」
「僕なんかしちゃったの・・・・酷いよ・・神様酷いよ・・
どうしてこんなことに・・どうして?」
「なんで・・・・・どうして・・・」
「誰か助けて 誰か・・・」
「なんだよこれ、やべーよ30階層に入ったらいきなりこれか?」
「やばいよリーダー、サイクロプスどんどん増えてるよ」
「逃げた方が良いよ1体、倒すのに時間掛かりすぎだよ」
「俺たちはAランクパーティーだぞ・・にげる・・そんなことできるか・・」
その時サイクロプスが岩を砕き投げ始めた
防御ドームを回復術士のエルムが展開する
しかし物凄い数に流石にドームがはじけ飛びエルムの持っていた杖が折れる
「キャー」
「ダメだ、撤退するぞ・・」
リーダーのフラネルは一目散に逃げようとして必死に手を組み祈りを捧げている
少年が目に入る
「何だ・・このガキ・・俺たちが必死に戦っているのに、のんきにお祈りか」
フラネルは少年の襟をつかむと立ち上がらせる
「そんな奴かまっていないで速く逃げないと」
「くそが」
フラネルは少年を突き飛ばすと真っ先に走り出した
壁際の斜面を上の階層にむけて駆け上がる
30階層から29階層に戻るルートはかなり長く急勾配
「くそー29階層はまだか?」
「リーダーだめ・・・追いつかれる」
フラネルは下方面をちらっと見て
「ちっ・・「心配すんな、こんな時のためにこいつがいるんだからよ・・」
と言って一番後ろを走ってくる少年を蹴り落とす
「ほーらよ俺たちのためになってくれ」
少年は悲鳴を上げることもできず急勾配を転がり落ちていく
「さっすがーリーダー鬼畜ーー」
「こんな時のために無駄飯食わせてたんだからよ」
「よく言うよ飯なんかろくに食わせなかったくせに」
3人は笑いながら勾配を駆け上がっていく
いやだ、こんなところで死にたくない
誰か・・誰か・
足を引きずりながら必死にモンスターから逃げる
もう、だめだ腕も動かない・・・・・足も・・動かない・・
頭がぼーっとする
も・・う一・・歩・・も動・・け・・な・・・
もう、良いかな・・・
死ぬときって思い出が走馬灯のように駆け巡るっていうけど
良い思いでなんてなかったな
一人で必死に生きてきた、
「役に立たないガキはいらねえんだよ・・」
「なんだお前仕事したから金をくれだ、ふざけんな・・」
「ここに来ないでおくれよ空気が悪くなる」
何処に行っても邪魔もので、何をしてもだめだった
なんで
どうして
・・・・でも・・それも、もう終わるんだね・・
散々だったな
もう、いいや
壁際に追い詰められた少年に巨人の手が伸びる
少年はガクッとうなだれる
「せーーーーーのーーーそーりゃーーーーーっ」
大きな人の声とドーンという音・・・なに?
薄目を開けてみるとサイクロプロスが自分から離れていく・・なんで
あれは人影?女の人?その人がこっちに向けて走ってくる
ダメだ意識が遠のいていく・・だれ?
「サラ少しの間お願い・・・」
「ん?」
そう言ってミラルは少年のもとに駆け寄る
「君・・大丈夫?」
「酷い・・・」
ミラル姫は少年を抱き起し回復魔法をかける
「しっかりして、目を開けて・・」
「ダメだ、私の回復魔法じゃ効き目がない・・」
そう呟くと思いっきり息を吸い込んで叫ぶ
「お願い・・・
お願いアレッターーーーーーーーーーーーッ」
「呼んだーーーーー」
アレッタは空から舞い降りた、どうやら真上の崖にいたようだ
アレッタは見事に着地すると
「お待たせ」
と、言って笑顔を見せる
「アレッタ、お願い・・この子が・・・私じゃ・・私じゃだめなの・・」
あーあ、姫ともあろう人が半べそ書いちゃって
「大丈夫、息さえしていれば何とでもなるわよ」
そう言ってアレッタは魔法に入る物凄い光が3人を包みこむそして
「エクストラヒールッッ」
その声と同時に周りが一瞬白い色以外何も見えなくなり
「もう大丈夫だよ」
という声で色と景色が戻る
少年はうすらと目を開ける
「大丈夫?」
最初に映ったのは覗き込むミラルの顔のアップ
少年は目を見開いて驚き、ミラルの手を払いのけ後ずさる
顔には驚きと恐怖の表情
「待って、待って、落ち着いて・・」
「警戒するのはよくわかるわ、酷い目に合わされたんだもの
でも私たちは敵じゃない、信じて」
少年は震えている、よほど恐ろしかったのだろう
「大丈夫、私は、私達はあなたを助けたい無事に地上に帰ってもらいたいだけ」
少年の目には恐怖しかない、ミラルは優しい笑顔で続ける
「今、私の仲間が、あなたをこんな目に合わせたモンスターと戦っている
ただ、少し数が多くて多少時間がかかると思うけど、あなたは此処を動かないで
直ぐに安全なところに連れて行ってあげるから」
ミラルは少年に向けウィンクをすると
「良かった間に合って」
と言って立ち上がり踵を返す
少し離れたところで戦いの音がする
「状況は、どうなっている?」
「サライラが、こっちに近づかないように誘導しながら時間を稼いでいるわ」
「流石サラね、数が多いから一気に行くわ」
「それなんだけど、さっきあの子にエクストラパーフェクトヒール使ったでしょ
魔力があまり残っていないの、無茶だけはしないでね」
「わかった」
そう言ってミラルは大きく息を吸い込み「ウオーーッ」と気合を入れ
モンスターの群れに突っ込んでいく
「絶対分かっていないわね・・・あれ」
話をしながら2人の女性はモンスターに向って行く
あの人たちは誰・・何故助けてくれるの
「私はあなたと一緒に地上に帰りたいだけ、信じて」
『信じていいの?』
「大丈夫・・私はあなたを助けたいだけ・・」
『本当に僕を助けてくれるの?』
「良かった間に合って」
『僕のために、ここまで来たの?』
「そりゃーー」
掛け声とともにポイズンリザードを一掃する
「なんか嫌んなるほど数が多いわね」
「ほんとにね」
「ただ、なんかさっきから体が軽いんだよね
激しく動いて息が切れても直ぐに楽になるような気がして」
「それ私も感じた・・」
「って言うか、もうすでに百以上のモンスターを倒しているのに
呑気にこんな会話しているって事自体すでに、おかしいんだけどね」
「私はもう一つおかしな事があるんだけど」
強化魔法をかけながらアレッタが言った
「何?」
「さっき底をついた魔力がほとんど戻っている・・」
「この短時間で?減ったというのが勘違いで
実は減っていなかったんじゃないの?」
「馬鹿言わないで、エクストラパーフェクトヒールはそれだけで私の魔力の
80パーセント持っていかれるのよ」
「それより、さっきから私たちの周りに飛んでいるこの光は何んなの?」
「これ?この階層はこういうのが浮いてるんじゃないの?」
だんだん金色の光が増えてくる
「あほか、さっきまでなかったわよ」
「祈りの精霊・・」
サライラが無数に飛ぶ光を見ながらつぶやく
「祈りの精霊?」
「そうだ聞いたことがある、精霊の使い人が祈る事で、精霊を呼び寄せ助けてくれる?・・ン?」
アレッタは途中まで言って頭を抱える
「祈りを捧げるって、どこで?誰が?ただの伝説じゃないの?」
ミラルはリザードマンを切り裂き後ろを見る
そこには、さっきまで瀕死だった少年が手を胸のところで組み祈る姿があった
「まさか、あの子が?」
もし・・きこ・・・え・・た・・ら
「何か聞こえる・・」
『もし、僕の声が届いたら返事してください』
男の子の声が心の中に響く3人とも驚いて振り返り少年を見る
『聞こえましたか、良かった』
「この声は君の?」
『ハイ、僕の名前はレイフィル・・皆さんに僕の声が届いたので
祈りの精霊を活性化することが出来ます』
そう言ってレイファルは組んでいた手を開き顔を上に向け大きく息を吸って
手を一回パンと鳴らす
その音に合わせるように無数の光の粒が一瞬大きくなって消えていく
「なんか力が湧いてくる」
「す・・すごい・・」
「魔力量90パーセント越えた・・ミラル姫、無茶して良いよ」
「じゃー、お言葉に甘えて一気に行きますか?」
「「おおーーーーー」」
「身体強化Lv5」
良かった、あの人たちには全然声が届かなかったから・・・
「正面から突っ込んで蹴散らすよ・・あっと、そうだレイファル、これを」
そう言ってミラルは何かをポーンと放り投げた
受け取ったレイフィルは手を開いてみると綺麗な石が並んだブレスレット
『これは?』
「私たちのパーティーの証よ良かったら受け取って」
『えっ』
「着けると前のパーティーとの契約も消える事になるけど
良いよね今だけでも着けてみて」
余裕があるのか姫と呼ばれた人はそんなことを戦いながら言う
『前の人たちのパーティーには入れてもらえなかったんです・・・・役立たずだからって』
沈黙、なんだろう胸が痛いな
こんな優しい人たちのパーティーって楽しいいんだろうな・・でも
「なーんだ、だったらさ・・・
何の気兼ねもなく、うちのパーティーに入れるね」
『えっ』
何を言われたのか分からない、戸惑っていると
「レイフィル、早くブレスレット着けて サイクロプスの石ツブテが来る
身体強化魔法が掛けられないわ」
「早く・・」
僕が慌ててブレスレットを付けると身体強化魔法が飛んでくる
「よろしくね、でも怪我が治っても血や体力は戻らないから無理しないで」
姫とよばれている人が瞬時に僕のすぐ傍にきて声をかけて・・また戦闘に戻っていった
「よろしく、私はアレッタよ」
「サライラよ、よろしく・・・」
他の人も声をかけてくれる迎えてくれる・・・・?
「じゃー新しいメンバーも増えたことだし、祭りと行きますか」
「「おおーーーーー」」
『おお』
僕も遅れておおって言ってみる 祭り?
戦闘はそれから1時間続いた
僕たちの周りには夥しいモンスターの死骸、急所を切られ魔石を破壊されたものは
消えていく、それでも、ものすごい数が残っている
「これどうするかな、解体して魔石だけ取る?」
アレッタが杖でドクトカゲの死骸をつんつんしながら言う
「本当ならリザードマンとサイクロプスは持って帰りたいけど
でかすぎて収納に入らないよね」
『あのー』
「ん?どうしたの?」
『持って帰れますよリザードマンとサイクロプス』
「ほんと?」
『はい』
「アレッター」
「何?」
「レイフィルのカバンに空きがあるらしくて
巨人サイクロプスと蜥蜴男リザードマン持って帰れるって1体ずつ確保して」
『ち、ちがいます、全部持って帰れます』
「ごめーん、違った全部だ・・・・ぜ、全部?」
余りに大きい声を出したのでアレッタとサライラも
何事かと様子を見に来る
「レイフィル、ごめんあのさ、巨人がざっと30体リザードマンは100体以上いるんだよ
それを持って帰るって本気で言ってるの?」
『はい』
「ってか、そんな容量のカバンってあるの?」
『大丈夫、カバンじゃありません・・・・と言うより、カバン持ってません」
そう言ってレイファルは右手を上にあげると黒く丸いもやみたいなものが
現れそのままサイクロプスを左手で触ると
フッとサイクロプスが消えるそのまま移動しながらリザードマンやサイクロプスを
どんどんかたずけていく
3人があっけにとられていると
アレッタが一言
「すご、異空間収納だよあれ」
「な、なにそれ?」
「原理は収納バックと一緒、違いがあるとすればバックは魔法で
入れられる範囲を大きくするんだけど・・あれは文字通り本当に別の空間に入れるから
容量の限界が無いと言われてる伝説の魔法技術よ」
「かなり高位の魔法使いでも成功した人がいないって言われてる
・・先に言っとくけど私にも無理だから」
アレッタは胸を張って言い切る
「あの子、何に者なの?」
3人は、ただ見ていることしか出来ないそして
『終わりました」
「「「はや」」」
「本当にしまったのあの数を?」
『はい、えーとサイクロプスが47体リザードマンが137体ですね』
「「おお、お疲れ様です」」
「しかも異空間は時が止まっていると言われていて、入れた物の保存状態が
入れたときのままらしいよ・・」
「凄いわね、至れり尽くせりじゃない
でも、サイクロプスあのまま出てきたら怖いわよね・・」
「魔石・・取らないと・・」
アレッタとミラルがバカみたいな話で盛り上がっていると横から
サライラに突っ込まれる
「いけない、そうだったわね
ドクトカゲの魔石取り3人で手分けしましょう
レイフィルは休んでいて、まだ本調子じゃないんだから」
「大丈夫です、魔石取り僕得意なんですよ」
そう言ってレイフィルは空間収納からナイフを取り出し作業に取り掛かる
「真面目だねー」
「アレッタ、見ていないで手動かして、後、討伐部位もお願いね」
「ドクトカゲの討伐部位って何処?」
「尻尾」
そんなことを言いながらそれぞれ皮袋に魔石と討伐部位を入れていく
2時間ぐらい4人で魔石と部位集めに没頭した
「良し、これで最後かな」
魔石を取られたモンスターが消えたフィールドを見ながらアレッタがつぶやく
「ビッグフロッグが何匹か巻き添えになっているわね」
「薬になる、頂戴・・」
「ほいよ」
アレッタはビッグフロッグを拾ってサライラに投げる
サライラは数を数えながらキャッチしていく
「5、6・・・・10、11」
「これで、ラスト・・ほい」
「12と、ありがとう・・」
「サライラさんは薬を造るんですか?」
「ん・・」
「サライラは薬師の資格も持っているのよ」
言葉足らずのサライラをミラルが笑いながら補足する
「それにしても、もう大分遅い時間よね、どうする戻れるところまで戻る」
「いや、実は昨日止まったホテルに魔法陣を仕掛けておいた」
「ん?・・ちょっと待って、アレッタ?何言ってるの」
「何って?」
「そんなもの仕掛けて、ばれたら怒られるわよ」
「ばれないわよ、クローゼットの中だもの魔法陣」
クローゼットって、まって・・詠唱するな・・こら、まてこの人数クロー」
シュッと4人は消えていく
ガシャーン大きな音がしてクロゼットの扉が大破する
その前には折り重なって倒れる4人
「あ、痛たた、みんな大丈夫?レイフィルは?」
「だ、大丈夫です」
「あんたねーもう少し考えて行動しなさいよ割といいホテルだから
他に響かなかったけど、安宿だったら大変よ」
指摘されてアレッタはむくれる
「うっさいわね、早く帰れたんだから、良いじゃない」
「そう・・お腹すいた・・・」
「ほらサライラは分かってる」
「まー良いわ、今何時」
「夜の9時回ったとこだね」
「それなら、ホテルのレストランで良いわね、行きましょ」
「よーし食うぞー」
「さ、レイフィルも、お腹すいたでしょ」
『えっでも・・僕・こんな格好だから皆さんと一緒だと迷惑が・・』
レイフィルの格好は薄汚れたペラペラの生地で出来たシャツとズボン
それと粗末な戦闘ベスト、ところどころ破れている
「格好が気になるの?私達も似たようなもんだけどな」
「しょうがないわね」
『ごめんなさい、レストランは皆さんで・・』
「着る物とか装備は明日階に行くとして今日は・・・・」
「ウフ急いで、着替えようか女物しか無いけど ウフフ」
『あの、ミラルさん?』
「これ似合いそう・・」
『サライラさん・・・』
「お腹すいてるんだから剥くんなら早くして」
「イヤーーーーッ」
「こちらの、お席でお願いいたします
こちら、メニューになります
「よし、食うぞー肉だ肉」
「レイフィル何にする?何でも良いよ、いっぱい食べようね」
僕が下を見ていると
「ごめんね、でもよく似合ってるよ女の子に見えないように
コーディネートしたし、起こらないで?」
怒ってないです、恥ずかしいだけです
「ハイ、機嫌直して・・これメニュー なんにする」
ミラルさんがメニューを僕に渡す
『困ったな、字は少し分かるけど どんな料理か分からない・・』
しまった困り顔をミラルさんに見られた
『あ、あのー』
「こほん、ねーみんな 今日はレイフィルの歓迎会も兼ねてるから
料理は私は任せてくれない・・もちろんおごるし豪華に行くわよ」
サライラとアレッタも察したようで
「良いわ、それでお願い」
「私も・・」
「よし、ボーイさん注文お願い」
ミラルさんはそれから料理を注文するとテーブル一杯に
色々な食べ物や飲み物が運ばれてきた
「それでは、新しい仲間レイフィルを迎え、これからよろしくという事で
せーの乾杯」
「「乾杯」」
それからいっぱい食べて一杯喋ってお店が終わる11時にお開きとなった
酔い潰れてしまったアレッタさんとミラルさんをサライラさんが担いで
部屋のベッドに放り投げる
凄いなこの人
「レイ・・」
『は、はい』
「そこお風呂、入ってゆっくり休むと良い・・」
『は、はい』
お風呂か前は僕だけ外の井戸で汚れを洗っていたなー
浴室に入ると大きな鏡
ミラルさんたちに着せられた服、小さめと言っていた毛織のシャツ高そうだ
ズボンはそのままで良かった・・
アレッタさんスカート穿かせようとしたもんなー
このパーティーで頑張ればお給金も出るって言っていたから服も買えるかな
お給金
「なんだ、金持ってんじゃん、よこせよ使ってやるよ
「なんだその顔は」
「奴隷商に売っぱらってやろうか」
「てめーみてーなガキ死んでも誰も何とも思わねーんだよ」
むかしの事を思い出す
レイフィルはシャワーを頭から浴びながら気が遠くなっていく
ガッシャーン
大きな音を立て倒れこむ
小さいころからずっとそうだった
お かあ さん
お母さん
ねえねえ、森でこんな大きなキノコとったの
あら、コシノ茸じゃない
美味しいのよこれ
すごい、すごい
レイファルが良い子でいたからご褒美かしら
ホント、良い子でいたらもっといいことある
ええ、もちろん
ワーイ
『お母さん・・・あ、夢?』
「起きた?」
起き上がると反対側のソファーにサライラさんがいた
僕はお風呂に入っていたのにソファーに寝かされて
子供用?バスローブを着ている
「お風呂場で倒れていたのよ何かあった?」
そっか、運んでくれたんだ、サライラさんを見ると
心配そうに僕を見ている
『あ、昔の夢を見ていて・・そうしたら急に目の前が真っ暗に』
普通に言ったつもりだったけど
「そう、つらかったね・・・」
『えっ?』
心を見透かされたような事を言われて目を丸くすると
「顔を見ればわかる・・・」
そう言われて僕はソファーの横にあるチェストに行き、鏡を見た
そっか、泣いていたんだ
「今日はもう寝たほうが良い・・・
そうしてくれないと寝室からあなたが心配で、心配で覗いている二人が寝られない・・・」
寝室のほうを見てみるとアレッタさんとミラルさんがドアの両端から
顔を半分出してこっちを見ている
僕が気づくと二人ともパッと居なくなった
クス・・可笑しくて思わず笑ってしまう
「やっとあなたの笑顔が見れた・・良いね・・」
『えっ?』
「お休み・・・今度は良い夢をね・・」
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