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3話

アルファの町 屋敷前


「ほー。大っきいお屋敷ね。どうやって潜入するよ。突撃以外で。」


 依頼先の町に到着して件の屋敷の前まで来た私達の前に思った以上の大きな屋敷が建っている


「裏に回って俺の魔法で氷の階段を立てるのはどうた?突撃以外だと。」


「階段なんて立てたら目立つだろうが。ここはやっぱ正面から突撃だろ。」


「突撃したら出てきた敵、全員倒さないとだろ。メンドイから却下だ。」


「そもそも調査依頼何だから手荒なまねできる訳ないでしょ。とにかく突撃は却下に決まってるでしょ。」


 悪事の証拠が見つかればいいけど、正面から殴り込みして健全な屋敷だったら大問題じゃない。絶対突撃は却下よ。


「それは一旦突撃してから考えたようぜ。」


「「だから突撃以外って言ってるでしょ(言ってるだろ)」


 オースターの考えなしな発言にアザールとそろって反論する。


「うーん。突撃するのが一番早いと思うんだけどな…あ!!」


 私達の反論を受けて考え込んでたオースターが何かを見つけたらしく突然大きな声を上げる。



10分後


「何か思いついたみたいだけど本当に大丈夫なのかしら。聞いても絶対に大丈夫だらか見てろとしか言わないし。」


 こういう時のオースターは9割がたろくな事をしないのよね。絶対に何かやらかすに決まってるわ


「まぁあそこまで言うからには大丈夫だろ。若干怪しいけど…。」


 物陰から不安をつのらせて屋敷の入り口を見張っているのと何やら大きい荷物を背負ったオースターが現れた。どっかで見た事ある四角いリュックだけど、あんなのどっから持ってきたのよ。


「きたわよ。何持ってるのかしら。アザール、早く通信繋いで。通信。」


「お、おう。」


 アザールが魔法を発動させると本来声が聞こえない位置にいるオースターの声が聞こえてくる。


[ちわーす。ウー○ーイーツです。注文の品お届けに参りました。]


「うそ…あいつの名案って…。」


「あぁ。あの事だろうな。そんなの注文のしてないのすぐバレるだろ…。」


「あ、でも中から人が出てきたわよ。」


 オースターが呼びかけてしばらくすると屋敷からいかにも荒くれ者っぽい見た目をした若者が屋敷から出てきた。


「おい。ウソだろ…。」


[ウーバー○ーツなんて頼んだか?]

[はい。確かに受取先はここになってるぞ。]

[あーじゃあ家の者が誰か頼んだんだろ。あんちゃん悪いけど中まで運んでくれないか。]


 そうやり取りをしながら屋敷の中に消えていく。


「本当に成功させやがった。」


「ちょ、映像は見れないの?」


 いまは音しか来てないけどアザールの魔法なら映像も準備さえしていれば見れるはずだから確認してみる。


「そんな急に言われたって無理に決まってんだろ。そもそも成功すると思ってないから用意してないし。

はるだって成功すると思ってなかったろ。」


「うっ…。それを言われると。」


 そうこうしているとまた音声が届いた


[おう。ここまででいいわ。代金はいくらだ。]

[えーといくらだ?500Gになります。]


「出前でそんな安いわけないじゃない。」


「やべぇ…これはさすがにバレたか。」


[意外と安いんだな。これでいいか。]

[はい。えーっとお釣りは40


 すると突然会話の途中で音声が途切れた。



「オースター!オースター!っち…だめだ繋がんね。」


 アザールが再度通信を試みようとするが反応がない


「ちょどうなってんのよ。これマズイんじゃないの。」

 このタイミングで通信がだめになるって事は


「オースターがバレたってことよね。私達も急いで乗り込むわよ。」

そう言いながら急いで頭の中で潜入プランを考える


「あぁ。あいつが簡単にどうこうなるとは思わないが急ぐぞ。この際多少手荒でも構わねぇ。」



屋敷裏



 進入路を探すべく屋敷の裏に回ってきた。ここだと通りの人通りも無く、2階には侵入にもってこいの大きな窓が見える。


「ここからあの窓に向けて階段をかけるか。なるべく派手な事はしたくなかったが仕方ないな。」


 アザールが無人の部屋の窓に向けて階段をかけるべく魔法を使おうとする。


「ちょっと待ちなさい。氷の階段なんかかけられても登れるわけないじゃないの。ここは私に任せときなさい。」


 ここはあの新作をお披露目する絶好のチャンスね。

剣を抜き柄についてるボタンを押すと柄頭が開いた。

そこに腰のポシェットからガジェットを取り出し剣にセットした。



「いくわよ。造形魔法。木…(きざはし)。」


 すると地面からつるが伸びてきてまたたく間に階段を編み上げた。


「どんなもんよ。はる印の新作、木魔法ガジェットよ。これ作るのにどれだけ報酬つぎ込んだか。うぅ…私のお小遣い……。」


 魔法発動速度も申し分ないし、やっぱ属性特化型だと魔力消費の軽減が桁違いね。一応発動のときにへんな動作もなかったしこれは大成功だわ。作るのにお金かけただけの……


「けどやっぱ、私のお小遣い……。」


「おー。ついに木属性の出来たんだな。ほらそこで百面相してないでさっさと行くぞ。」

 アザールが階段を登りながらなんてこと無いような雰囲気で言ってきた。


「なによ。もうちょっと褒めてくれたっていいじゃない。」


「オースターも気になるし、見つかったら面倒ってはるが初めに言ったんだろ。」


「いやそうなんだけど。そうなんだけど…。」



屋敷2階


 木属性から火に取替えてっと


「ヒート…。」


 小さく呟いて剣先を温めて窓ガラスに押し付ける。するとみるみるガラスが溶けていき、ちょうど手が入るくらいの穴が空いた。


「これで鍵を空けてっと…よしっ。それじゃあ早速探索開始よ。うぎゃ」


 さっそくこっそり屋敷の中に乗り込んで調べようとしたらアザールに引っ張られた。


「階段消すの忘れてるぞ。」


「わ、分かってるわよ。こ、これから消すところだったのよ。デリート。

それじゃあ今度こそ探索開始よ。」


 階段を消してから部屋の中を調べてみると、棚に色々なものが無造作に置いてあった。


「なんだこの部屋は。物置か何かか。」


「そうね。禁制の物とか置いてあったら早いんだけどねそう簡単に置いてないわよね。」

「お、見てみろよこれ。」


 何かゴソゴソと漁ってる音が聞こえたかと思うとそう声をかけてきた。

何かと思って振り返って見るとうさ耳をつけたアザールがいた。


「これ一昔前に流行ったやつじゃねーか。ほらこんな風に魔力をこめると。」


 そう言って器用に左右の耳を交互に上げたり下げたりして動かす。あれ左右に交互に動かすの地味に難しかったのよね。


「ってちゃんと探しなさいよ!あれ…これ……

あぁ!これって許可がないと所持出来ない魔導具じゃないの。しかもこれ改造した痕跡があるわね。」


「てことはそれ持ってったら依頼完了ってことか。

じゃあ後は適当にオースターを探しがてら追加の証拠を集めてさっさとトンズラしようぜ。」


「そうね。」


 部屋のドアを開けて廊下の様子をそっと伺ってみるが人のいる気配が一切感じ取れなかった。けど突き当りに一箇所妙に豪華な扉のついた部屋があった。


「いかにもって感じの扉だな。どうする?入ってみるか。」


「現状何も手がかりもないし…。でも中に人がいたらどうするのよ。てかうさ耳はそのまんまでいくのね。」


「中に人がいても悪事の証拠は掴んでるわけだし戦いになっても大丈夫だろ。

なんならそいつからオースターの居場所と追加の証拠を聞き出せば一石二鳥じゃねーか。」


「そうね。そしたらそーっといくわよ。」


 今いる部屋を出てひときわ豪華な扉を開けると、中は意外にも広々とした所でその中に…


「誰だお前ら。」


「さっき出前の振りした男の仲間ではないか。弟よ。」


「なんだと。兄ちゃん。そしたら俺らの仕事ってことだよなぁ。」


 扉を開けた瞬間目が合うとかついてないわね


「ばれちゃ仕方ないな。行くぞはる。」


 アザールの掛け声にあわせて部屋に飛び込む


「オースターの事知ってるみたいだから、きっちりはいてもらうわよ。」

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