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スクセの巫女がチョロすぎて…  作者: アホイヨーソロー
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神の試練に果敢に挑む…の6

 やはり社のどこにも聖域につながるような扉は見つからない。

 寂れている社に近づくのは冒険者かルリたちぐらいなので、今現在、敷地内をうろうろしている若者たちは4組ほど。お互いの存在はわかっているが、相手より早く出し抜きたいという気持ちと、誰か先に見つけてくれないかなという甘えた相反する気持ちが一緒になっているせいで、突かず離れずの距離感で固まって動いていた。

「水神様のところは建物の入り口に、聖域の入り口が隠してありましたが…。」

「そこはもう調べたしなあ。」

 八方ふさがりである。毎日探しにきているグループも、しらみつぶしに歩いているのだが本当にどこにも見当たらない。

「そもそも入り口ってどうやって見極めるんです?」

 キーウィは首をひねった。

「解錠の魔法を特定の位置にあてれば開くのですが…。おっしゃる通りその前段階がものすごく難しいんですよね。」

「でもルリよ。」アルバートは横から口を挟んだ。

「確か山のところでは気が付いたら迷い込んでたんだろ?その解錠の魔法ってやつをつかったのか?」

「そんな覚えはないんです。」

 不思議な話だ。

 確かにビニアスの聖域に入るときアルバートとキーウィはカイたち若者冒険者グループの協力によって入ることができた。場所を特定できたのは…

「あれだ『マジックダイアル』。あれがめちゃくちゃな方向回ってたのに、入り口の近くに行ったときはその位置を差し続けた。」

「私のマナによって動いたものなので私の力に反応したんでしょうか。」

「くわしくは俺はわからねえが…状況から考えると、そうだな。」

 そのやり取りを聞いてキーウィが手を打つ。

「なるほど!ではまた巫女様が聖域に迷い込めば…」

「あなた自分の役割わかってます?」

 フリティアに厳しい視線を投げかけられる。

「そもそも、私もどうやって入り込んだのかがわからないんです。やったことといえば、お守りを飼ったことぐらいで。」

 ルリはまだ首にぶら下げているお土産のお守りを手に取って眺めた。

「それに特殊な魔法がかかってたとか。」

「ルリ様の持つそれは私から見ても一般的なお守りです。一般のお土産用のね。」

 同じく魔法の使えるオーギが言うので間違いはないだろう。5人は敷地内の端に固まって意見を出し合った。探せるところは探してみたが、どうしても見つかることはなかった。そんな中キーウィがまた何かを思いついたようだ。

「…もしかして空中とかじゃないですか…?」

「ええ…?」

「理由は。」

 度重なる失言で発言力が弱まっているため、みんなから冷めた目で見られる。そんなことはどこ吹く風のキーウィが胸を張って自論を展開する。

「天神さま、というぐらいなので地上に入り口を作ってないんですよ!この社の中で探してない所と言ったらやはりここでしょう!」

「なるほど。」

 キーウィの話を聞かされた四人は顔を見合わせる。意外と予想としては悪くない。

「しかしどうやって扉を探しましょう。」

「そりゃ簡単です。」

 キーウィもそこをちゃんと考えていたようで。

「ルリ様を肩車すればある程度の高さは探せますよ!」

 この中で一番背の高いのはオーギである。発想は間違っていない。

「仮に私がルリ様を持ち上げたとして、探せる高さはそんなに高くはなりません。」

 肩車したぐらいの高さならそんなに無理をせず手を伸ばせば届く可能性が高い。

「なに、簡単ですよ。オーギさんがフリティアさんを肩車して、フリティアさんが巫女様を肩車すればいいんですよ。」

 無茶を言う。

「あなたもたまにはまともなことを言うと思ったのですが撤回したい気分ですね。」

「…キーウィ、それしか方法は考えつきませんか…?」

「最善の策かと。」

 策などどの口が言うのだろうか。

「背の高さと重さから考えるとアルバートさんがオーギさんの上なんですがね。」

 フリティアが一発みぞおちを殴った。

「だ、だいじょうぶ!ティアの方が軽いですよ!」

「…ありがとうございます、ルリ様!」

 鎧や武器などの装備品の重さを加えての発言だった。しかし、直接言わねばそんなことは伝わるはずもなく。

 アルバートは遠巻きにそのやり取りを眺めていた。

「…あの、脚立に乗るとかじゃダメなの…?」

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