神の試練に果敢に挑む…の3
大通りの一角に今日も通りの端から端まで行列ができている。例の占い屋の店である。基本的に予約制なのだが、その予約待ちの客が列をなしているのだ。二時間待ちとなろうともようやく自分の番が近づくと気持ちがはやるのだろう、どの人も落ち着いているように見えて、しきりに腕時計を見たり手鏡で身だしなみのチェックをしている。
ルリもその列の横を通るときにチラチラと気にしていた。
「流石に何日か前から予約しないとなあ。」
「いえ、何ヶ月待ち、ですよ」
ルリは残念がって首をふる。
たしかに占い師一人が一日に視れる客の数なんてたかが知れている。
「あーそうか、ここに来るってわかってたのに巫女様は予約してなかったんですね。」
きっ、とルリとフリティアがキーウィを睨みつけた。
天神の社があることはすでに協会から伝え聞いていたので当然ラルドの白の街に来ることはわかっていた。
「でもたしかにぬかっていました…」
もう一度悔しそうに大げさに肩を落とす。
その時、列の前方に急に人だかりができ始めた。
「なんだぁ?」
アルバートは手をかざして先端を眺める。女性たちが黄色い声援を上げ、街は軽くパニックになろうとしていた。まるで大スターが現れたかのような賑わいである。
だが意外なことにその中心にいたのは、年老いた下につくほど長いあごひげの男性であった。