自称勇者は許される…の2
夜の街に男だけ繰り出す理由など限られている。
酒か、女、である。
ただこれをおおっぴらに言うとまだ若い巫女様には到底受け入れ難く、大変おかんむりになることであろう。ついでに印象も悪くなる。
キーウィはなんと言って彼女を退け、経験豊富そうなアルバートにお店選びの指南を受けようかを悩んでいた。
「こんな夜に出かけるんですか?」
「ええ、まあ……その許可が欲しくて。」
アルバートの助けを乞おうと目配せをするが、無理やり起こされ機嫌の悪い彼にはそっぽを向かれてしまう。
「どこです?」
反対にあんまり機嫌が悪くないルリはフリティアに髪をとかしてもらいながらキーウィの様子を見る。
「えー…あのー…」
なかなか言い出しにくそうなのはルリも察するが、流石に盛り場をあさりに行くという発想にはたどり着けない。
「……夜の」
ルリは首を傾げる。
「この街は夜のライトアップがきれいだそうでそれを見に行こうかと。」
「えっ」
それまで黙っていたアルバートが驚いた。
キーウィのライトアップの話は本当である。夜になると繁華街に100万の明かりが灯され、郊外に光源の少ないこの白い街が宵闇に映えて見える。とパンフレットには書いてあった。
「…男だけで?」
フリティアが冷ややかな目であえてアルバートの方を見てくる。彼女には見透かされているのだろうか。
「…ま、夜は危ないだろうから男二人で行ってくる。」
素知らぬ顔でアルバートはキーウィを促したが、ここでルリがベッドから立ち上がった。
「まっ…待ってください。」ルリは指をいじった。
「私も…その、見に行きたいです。」
「えっ………………」
キーウィは口を開けて立ち尽くした。アルバートはキーウィの肩を叩き、首を横に大きく振った。
今日はお預けである。
「…そ、そんなぁ…。」