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スクセの巫女がチョロすぎて…  作者: アホイヨーソロー
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嘘つき騎士を置いていく…の5

「アルバート・ロス。あなたは聖騎士にもかかわらず、婦女子を襲おうとしたというのは事実ですか。」

 翌日の朝、起きてのんびり朝の支度をしていたアルバートが引っ立てられた。仁王立ちするルリの前に正座をさせられている。ルリはリアの訴えを信じただが、何か誤解があるかもしれないとアルバートに弁明の余地を残した。結果がこれである。

「ええ、その。リアからはどこまで…」

「あなたに襲われそうになった、と。」

 起きてきたカイたちも心配そうに行く末を見つめる。

「ルリそれは…」

「襲いかかったのは事実なんですか!」

 否認する言葉がなかなか出てこず、ルリは憤慨した。

「いやいや、聞いてくれ。」アルバートは手を出して制する。「あれはだな…」と語ろうとしてもルリ裁判官は聞いてくれなかった。

「女の子を襲うなんて!アル、見損ないました!うう…」

 目元を抑えるルリのもとへフリティアが駆け寄って抱きしめた。正確には直接触れずに少し手が浮いて腕で囲っているだけだ。

 あたりに険悪なムードが漂う。だがここで、被害者であるリアが手を上げた。

「えっと、あれのことなんですが…」

 全員の視線が注がれる。

「昨晩はああ言っちゃったけど、後々考えてみれば確かあたしの背後に魔物がいたみたいで…それに見つからないようにとっさに押し倒したんじゃないかな、急に覆いかぶさってきたからびっくりしちゃったけど…。」

 そういって頬をかくリアの目は泳いでいる。

「…リアさん、昨日確かに襲われちゃった、って。」

 ルリは目元をぐしぐしとこする。

「いや、あれは…だって会って間もない男の人にあんなことされちゃったから…ちょっとムカついちゃって。」

 ちょっと腹が立ったのは事実である。困らせようと思っただけだが、ルリの拒絶感がここまで強いとは想像していなかった。

「……アル。本当ですか?リアさんを守るために強引に押し倒したということですか?」

「…あー…そう。」

 突破口はここしかなかった。危機感の薄いいたいけな少女に、世の中の危険なことをその身をもって示してやるとことも『守るため』であればそうと言える。無理やり自分を納得させた。

「コボック・ローボックっていうのか?あいつの喉元を切り裂いたら腕にいろいろくっせえ液体がついたから沼まで洗いに行ったんだよ。」

 ルリがそれが本当かどうか、周りのカイたちに目配せをすると、彼らは頷いて事実だと認めた。

「その後からリアちゃんが一人で追いかけてきたんだ。あんまりも無防備で危なっかしいもんだから…」

「リアさんの背後にいた魔物にあるは気づいて慌てて守ったと。」

「そう…そんな感じ。」

 かすかに眉をひそめながらアルバートは笑った。

 ルリは腕組をして難しい顔をする。

「……。」

 判決は一体。全員は固唾を飲んで見守った。

「ちょっとわらかないことがあるので再現してもらえませんか?」

「………えっ?」

 ルリは手頃な位置にアルバートを手招きをして、ひざまずかせる。

「それでリアさんはどの位置に?」

 急な展開にリアはドキドキしていた。またこの男に押し倒されるのか。緊張してしまう。

「…こ、これぐらいのところかな?」

 リアはアルバートの背後に立つ。それをルリは何か調べるようにじっと見渡した。

「うーん距離はこれくらいですね。リアさんありがとうございます。」

 とルリはリアをその場からどけて今度は自分が立つ。

「えっと…ルリ様?なにを。」

「二回も押し倒されるのは困るでしょうから、私が身代りになります。」

「ええ?」

 全員の頭に疑問符が浮かぶ。

「アル、準備はできました。いつでもどうぞ。」

「いや、いつでもどうぞって。」

 アルが振り返ると再び仁王立ちをするルリがいた。ただ少し違うのは緊張のためか、目をぎゅっとつぶっているところである。

「い、勢いよく!私の後ろに敵がいたと仮定して!」

 アルバートは何が何やらわからないまま、ルリ裁判官の言うとおりにした。

「きゃっ!」

 軽い衝撃とともにルリがアルバートに組み敷かれる。アルバートはとっさにルリの後頭部を支えて倒れこんだ。

 かつてないほどの密着。ルリは少し瞳をうるませて近づくアルバートの表情を見ようとする。

「わ、わかりました。アル…これなら確かにやましい意味はありませんね。」

 ルリは恥ずかしそうに目を背けて笑う。

「アル…?」

 黙ったままのアルバート。

「アル、そ、そろそろ…。」

 ルリはアルバートの体を揺らして『再現』を終わりにしようとする。だが、彼からはなんの反応もなかった。

 それもそのはず。至近距離の聖なる加護の力は想像以上だった。倒れるときにルリがアルバートに抱きついたため、全身を激しい痛みが襲った。アルバートはそのまま失神。ルリのやわらかな胸に頭を埋めたままのびていた。

「アル…あ、あんまりくっつかれると…」

「おらぁ!貴様、ルリ様が許可したからっていい気なるな!!」

 フリティアがこらえきれずに片腕でアルバートを強引に引っペ返してポイ捨てした。鈍い音を立ててアルバートはその場に倒れた。

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