表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スクセの巫女がチョロすぎて…  作者: アホイヨーソロー
196/211

少女のことも受け入れそう…の3

 カノは客人を無視してベッドに飛び込む。仰向けになって彼に話しかけた。

「今は何してるんです?」

 アルバートの方はそばにあった手頃な丸椅子を引き寄せた。

「傭兵。」

「うっそだぁ。」カノは笑った。

「そんな割の悪い仕事するわけ無いですよね。まだあの旅芸人のほうがいいですよ。」

 真の目的にはたどり着かないものの、アルバートの発言には裏があることがすぐに察せられてしまう。

「カノ、いつから気づいてた?」

 今度はアルバートが問う。

「あの人の装備を盗んだときから、ですかね。」

 カノの発言はアルバートに対して嘘が感じられない。

「つまり、追いやすくしたのも…」

「師匠ならきっとたどり着くと思って。せいぜい途中で気づかれると思ってたんですが、まさか出し抜けるところまでいけるとは思いませんでした。」

「…見事だったよ。」

 心底無愛想な表情で一言だけ答えた。だがこう続ける。

「あの街で普通に生きてくことぐらいできたのに何盗賊の腕を磨いてんだよ。」

 カノが身を起こして眉をひそめる。

「あれが師匠から教わった生きるスベですよ?」

 アルバートは一つたりとも彼女に教えたつもりはなかった。彼が彼女に言って聞かせた考え方、行動理念のすべてを、カノは師匠の生業と同じ道に向かせていたのである。これまでずっと一人で盗みを繰り返し、影に生きてきた。

「こうしてれば師匠にまた会えると思って。」

 こういうカノは普通の少女のようなあどけない表情で語る。

「で、いま師匠がいるところがターゲットなんですよね。結構なボンボンと一緒でしたから大口の仕事なのかな?もしよければジブン、師匠の力にーー」

「俺はもう盗みはしてない。」

 アルバートは視線を落とした。

 これは本当のことだ。騎士号を盗んでからずっと、彼のたち振る舞いは聖騎士である。

「え?」

 薄暗い部屋でもわかるほどカノが青ざめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ