少女が現れ四苦八苦…の5
思いがけない再会にキーウィはしばらく目をしばたいていた。
「え…これ?」
まじまじと眺めるキーウィに店主が気づいて近づいてきた。
「気に入ったかい?なかなか良い目をしてる。今日手に入ったばかりの代物でね。」
いつの間にか丁寧に磨かれていた元キーウィの鎧はまるで持ち主との再会を喜ぶかのように輝いていた。
キーウィが店主に勢いよく近づく。だが、アルバートは肩を入れて彼を制した。珍しく怒っている様子のキーウィに対して自分に任せるよう目配せをする。眼力強く、そのままうなずいてキーウィはアルバートに交渉を託した。
「親父さん、今日これがきたのかい?」
「ああ、そうさ。あんまりいい品だから言い値で買っちまったよ。」
「ははあ、それでこんな値段で。」
高い宿泊費の2日分だ。片方だけの肩当てにも関わらず。
「悪いがね、これは下げる気はないからね。それにおたくら、ここは初めてだろう。」
「常連なら安くするのか。」
「そりゃご贔屓にしてくだすってるお客様にはできるだけ答えてやりたいからね。…まあまあ、そいつをその値で買ってくれるなら次のお買い物は少しお得になるかもな。」
店主はきれいにヒゲがそられた顎に手を当ててニタニタと笑った。
「高い理由がいまいちわからないんだが、この鳥の紋章はなんだ?」
「んん、さぁて…?」
店主は首を傾げてみせた。
だがアルバートにはわかる。この男はこの紋章がどこの家紋なのか知っている。でなければ言い値なんかで買わないだろう。
「お客さん、いちゃもんつけて安くしようったって無駄だぜ。この品の良さがわからないなら他の安いのをおすすめするがね。」
嘲るような笑い方。相手の無知につけ入るような言い方である。