少女が現れ四苦八苦…の4
セレクトショップといったらいいのか、こだわりの防具や見たことがない品物があるのはたいていメインストリートから外れた路地にある。
そもそも防具は危険から身を守るためのもので普段使いのものではない、はずなのだが、能天気なやつらと生活を窮する者たちがこんなにも近しい時代ではそれも覆される。いまや冒険者でなくとも旅路には防具といったスタイルが普通で、一部の護衛を雇えるような金持ちですら服の下には鎖帷子を着ていたりする。
ファストファッション系アーマーが大流行なのはそういう背景があるのだ。
そしてそんな画一的な、簡素な、機能性ぐらいしか見ていないような平々凡々の鎧以外を求めるとなるとこういう路地裏の店が必要になってくる。
「おお、けっこう狭いですね。」
至るところに鎧かそれのようなもが通路にはみ出たり、ひしめき合っていたりするので体を横に切らないとと店の奥へ入っていけないほどだ。
「いいから早く好みのやつを見つけろ。」
「んんん…?」
こういう時キーウィは頭をさんざんひねるらしく、今日もまたすぐには決まらなさそうであった。
自分は特に要はないため、新作や中古品を見て回る。
「んっ?!おい!!」
いきなりアルバートが棚の向こうで叫んだ。
「なんですかぁ?」
ひょっこり顔を覗かせるとアルバートは棚の一箇所を指さしていた。
「へえ、なんか家の紋章に似てますね…」
少しくすんだグレイカラーの合金の肩当てであった。
「アホぉ!ありゃお前んだろ?!」
意外な発言に飛びつくようにしてアルバートのいる棚列に入っていく。
「あっ…」
間違いない。自分がなくしたばかりの肩に肘に脛に…鳥の文様が鮮やかな各防具であった。