少女が現れ四苦八苦…の2
ルリ御一行はほとんどフリティア持ちで高い宿に泊まることができた。ただ流石に気が引けるので、三人もいくらかの金を出す。
「今までもティアのお金で私は泊まることができてたんですね…」
申し訳なさそうに目を伏せるルリに対して彼女の信奉者であるフリティアはとんでもないと主張した。
「ルリ様が気に病む必要はございませんよ。毎回協会から受け取ったお金を全額支払いにあてることが出来ないですから、どうしても個人のお金と一部経費で負担してもらうしかないのです。」
つまり、とフリティアは優しく胸に手を当てる。
「あまり我々に賃金を割かない協会に問題があるわけですね。」
豪遊することを想定されていないとはいえ、それでもまだまだ安い。
せっかく世界を揺るがすほどの力を持つ魔法使いの護衛なのにあんまりな扱いである。
不満が出るのも無理がないのだ。
「ですが…」
自分のために身を切らせていると思うと、心が痛むらしい。説明を受けてもあまり気分は晴れず、じっとりとした空気が比喩ではなく流れ込んでくる。
「ルリよ、こういう時は受けておくんだよ。最終的に成功したら報酬も十分もらえる。」
アルバートの目的だとその報酬は二の次である。
「そろそろ行きましょうか。」
とわれ先にとキーウィがロビーを突き抜けようとしたがすかさず首根っこをアルバートに掴まれる。
「ええ、なんですか?」
「いや、お前は先に防具買わなくちゃだろ。」
それなら別行動してもいいか確認するためにルリの表情をちらりと伺う。
アルバートが気を向けてくれてよかったのかルリは何も言わず微笑んで二人の外出を許した。