不審な少女にご用心…の7
フリティアが来る前は割と安全にも配慮していたのだが旅費がかさんでくるとなかなかそうも言っていられないのだ。安くて程々に安全を選んでいるつもりであるのだが、彼女の「安全」とアルバートの「安全」とでは明らかに乖離している。
(そもそもフリティアは微妙に金遣いが荒い節があるんだよな。)
一般人にも使える魔法具はそこそこ値が張るものだらけでこれみよがしに街中で使おうものなら、アルバートのような盗賊に目をつけられかねない。ルリも喜んでおり本当に似合っているたので鎧に表立って文句は言わなかったが、今回の盗賊たちに先に目をつけられたのがキーウィではなくルリであったら大変なことになったであろう。
「…どうかしました?」
高価なホテルの前で一人深刻そうな顔をするアルバートをルリが心配した。
「ん、別に何でもない。…それよりルリよ。流石にこの中じゃ鎧まんまじゃ物騒っぽく見えるからよ。」
「あっ…そうですよね。どこかで…」
「フリティアもついていってやれよ。チェックインはその後でいいだろ。」
「言われなくても。」
仲間一物々しい鋼の大斧を背負っている彼女はどこか嬉しそうである。
「あっ、でも個人行動…」
「こういう時はいンだよ、白の街でもそうだったろうが。」
変なところで融通がきかない。二人がそそくさとどこかに着替えに行ったあと。
「で、どうする。」
アルバートが頭を抱える。当然宿泊代のことだ。
「私はまだ少し余裕がありますから多少は負担しても。」
「だがそれだとジリ貧だ…なんとかしないとなぁ…」
「ですねえ。」
アルバートはキーウィを小突いた。
「アホ、お前の防具買わなきゃならないんだからそんな呑気にしてる場合じゃないだろ。」
「え、アルバートさんも出してくれるんですか!?」
この後いろんなものをカンパしなくてはならなくなるのならば仕方ない出費だ。アルバートは黙ってうなずいた。