不審な少女にご用心…の4
しょげながら渋々外された鎧を着直すキーウィ。ルリのときと違い、全員の目の前で着させられ始めた。
「それで、お前を助けたっていうのは…」
キーウィから聞いた話に出てきた少女についてアルバートは尋ねる。
「あっ、そうだった。」
「おい、忘れるとか…」
キーウィは手を止めてあたりをキョロキョロと見渡す。しかし、駆けつけてけれた少女の残り香すら見つけることができなかった。
「あれえ?」
もう一度目を凝らして木々の間を探してみる。
「いないみたいですね…。あっ、もしかして。」
「なにか心当たりがあるの、キーウィ。」
ポンポンと手を打ちながら自信に満ちた顔で答える。
「彼女は神の使いだったのでは。」
「んん?」
「つまり、俺の日頃の行いの良さを見ていてくれて、俺の窮地に遣わしてくれた神の使者だったんですよ。」
どこからそんな自信が湧いてくるのか。
「百歩譲ってお前が悪事を働いていないとしても、神はおろか赤の他人が助ける義理はねえよ。」
「いやいや、そうは言いますけどね?」
いつもながら一度言い出したらなかなかひかないやつだ。アルバートはキーウィの肩を掴んだ。
「その神の使いに手間賃しっかり取られてるじゃねえか。」
「??」
キョトンとするキーウィ。だがその理由はすぐにわかる。
「ありゃ、肩当て…」
右肩、左肘、両方のアンクルガード。ついでに槍に巻いていた飾り布が無くなっていた。
「あれ、いつの間に!?」
「強盗に襲われて、盗賊に盗まれてんじゃあ世話ねえわな。」
だいぶ肝の据わったやり口だな、とアルバートは苦笑した。