自称勇者を探し回る…の7(終)
盗賊たちは防具をはずしたにもかかわらず一人の青年に圧倒されてしまった。穂先は鋭く的確に盗賊のカシラを捉えている。硬直した状態が続く。
「あの…」
彼をここまで連れてきた女が後ろから刺激しないよう声をかける。
「大丈夫です。安心してください!この程度ならばあなたに指一本触れさせませんよ!」
(こいつ、前後の記憶がないのかしら…)
女はほっと安堵の息を漏らした。彼が守ってくれるからではない。盗賊たちの中で、自分だけが敵とみなされていないのだ。これならば事態の終息は簡単である。
「きゃあ」
女がキーウィに飛びついた。キーウィは虚をつかれる。
「っどうしました!?」
「こいつらが私に手をかけようと」
ジタバタと盗賊を怖がってもがくふりをして、腕をキーウィの体と腰に巻きつける。
必然的に彼女の体が自分にピッタリと密着し、彼女の熱い吐息が首筋にかかった。
「…っあ、待って。」
一気に集中力を奪われたキーウィはへにゃへにゃと腕が下がってしまう。
(今よ)
女の目配せに応じ男どもが再度襲いかかってきた。
「クソぅ!」
自由に動けないキーウィが槍を振ってももはやなんの驚異もない。あっという間に地に組み伏せられ、首元には刃が当てられた。
「何だ、なんでさっさと殺さねえ。」
キーウィに一度倒された男が、嬉しそうに彼を痛めつけ始めた。
「こいつの仲間が駆けつけてくるよ!」
本業に戻った女も自分の服をはたきながら取るものとってさっさと始末するべきだと主張する。
「なに、確かこいつの仲間に女がいた気がしてな?」
(巫女様のことか!)
斥候役だった男ははっきりと確認をしていた。その中にいた純白の装束の女が気になるとのこと。
「追いかけてくるなら、こいつを生かしておいて脅すのも手だなと。」
ほうほう、と下品に笑いながら男たちが集まってくる。
「ギャッ!!」
だがそこに一本のナイフが飛んできた。