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スクセの巫女がチョロすぎて…  作者: アホイヨーソロー
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なんだかんだで頼り切り…の3

「アルバートさんが変、ですか?」

 五人はここまで何事もなく、1つ目の宿場町にたどり着いていた。

 手かせをされてクツワを噛まされ罪人のように連れ歩いてきたアルバートについて、キーウィがオーギに気になったことを伝える。

「ふむ…」

 宿のロビーに備えている長椅子に腰を掛けて、ボケっとしたままのアルバート。確かに先のような目立った活躍を見てきた身からすれば変な姿に映る。

「色ボケていらっしゃるのでしょう。もしくは後悔か。反省しているならいいことです。」

 オーギはそう言ってそれ以上は取り合わなかった。

 旅人の宿の近くには酒場がある。酒場があれば、女性による接客を受けられる店がある。そういうものに慣れていそうなアルバートに連れて行ってもらうつもりだったのだが、あの様子だ。天井を見ているのか窓の外を見ているのか、とにかく視線が定まっていない。

「…まあ、年下好きだし聞いてもあれかなあ?」

 まさか自分でも線引きしていたところにアルバートはつっこんでいったのだから、以前よりも当然、対女性に関するアルバートの株は下がっている。未経験のくせに、いや、未経験だからこそ容易に相手を舐めることができる。

 だがそれでもあの調子だと心配にもなる。

「アルバートさん。」

 キーウィはコソコソ近づくなり、ちょいちょいと肩を指でつついて小声で耳打ちした。

「…外に遊びに行きません?」

「んあ?」

「フラれた上に痛い目にもあったんですから、傷心を癒やすつもりで。いいお店ありそうでしょ、ここ。」

(いや、ふられてないから。)

 声に出したかったが取り合うとより必死に見える。

「はふひへふへひゃ、ふへへふへ」

 クツワを外せば連れて行ってやるといったつもりだが全然伝わってないのだろう。神妙な顔をしてキーウィはうなずいた。

「…ですよね、おそらくあれがアルバートさんの初黒星だったかと。ですが、あれですよ?旅の仲間にそういうの求めちゃ駄目ですって。」

(こいつ…)

 いちいち上から目線なのが癪である。勝手にしやがれ。

「もー拗ねないでくださいよ!アルバートさんも意外と子供っぽいところあったんだなあって親近感が湧いたところなんですから。」

「あほ」

「えっ、今なんて?」

 全く話にならない。今は考え事を続けたいのだ。けだるそうに背もたれに体を預けて目を閉じた。キーウィがワーワー話しかけるが無視だ。

「全く男どもは騒がしいですね。」

 今度はフリティアも二人のもとへ近づいてくる。

「そろそろ反省されましたか?」

 うかつな発言は許されない。パーティ内での痴情のもつれはだいたい解散の原因になる。ある機関の調査によると解散したパーティの実に6割弱がほれたはれたで喧嘩別れしている。喧嘩して恋仲になった相手と一緒に抜け出せればいいが気まずくてそれすらもできないのが現状だ。だいたいの冒険者は年若いが故、精力旺盛で本来の目的すら忘れ過ちを犯しやすいのだ。パーティは四人以上が好ましく同性で組まれるのが推奨されるのはそういうことである。ただ同じ性別のものしかいなくてもただれた関係による解散がままあるということは特筆しておこう。

「ルリ様はお優しいので、聞かなかったことする、とおっしゃってました。本来なら私達で叩き出すところですが、これまでの働きぶりが功を奏しましたね。」

 フリティアはそう告げたが、ルリがもう一度正式に告白されたがっていたことだけは伏せた。アルバートの発言も軽率だが、ルリも仲間内の恋愛の危険性がいまいちわかっていない。フリティアは当然理解しているので、妄想こそすれ実行には移さないのだ。

「あなただって成人した大人なんですからわかっているはずです。これからはきちんとわきまえてくださいよ。」

 私も甘いですね。とブツブツぼやきながらアルバートのクツワを外した。

(あの場で俺の素性がバレるよりはマシな展開だ。)

 アルバートは一言も話さず天井をぼんやりと見上げた。

(ここからは本気で聖騎士のつもりで動かないとな…。)

 焦点がピシリと定まった。

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