まだ少しだけ見ていきたい…の8(終)
「ティアが私のことを考えて怒ってくれたのは嬉しいですが、アルだって仲間です。あの発言は私は忘れますので、ティアもなかったことにしてくれませんか?」
(…ルリ様、私のことを思ってそんな話を…)
ホロリと涙がこぼれる。
(私はただ、あの男が入るとルリ様とイチャイチャ出来なくなると思ってたのに…)
この怒りの真意はルリには当然伝わらない。
それにしても、少し余裕が生まれたのか、それとも理想的な告白ではなかったと自分にも言い聞かせて納得したのか、たち振る舞いが以前よりも少し大人びて見える。
(こうやって成長していくのですね…。)
一抹の寂しさを覚えながらも、ルリの確かな歩みにフリティアは胸を打たれていた。
「ティア…?」
目を閉じて感じ入っている様子のフリティアにルリが首をひねる。
「いえ…なにも…」
親指の腹で目尻をなぞる。
「もう少しこのあたりを散策しましょうか。」
フリティアはルリに手を差し伸べた。喜んでその手に自分の手を添えてフリティアに引かれていく。
「失礼します。」
それだけで大興奮のフリティアは顔をそむけ空いてる手で鼻を抑えた。
折檻されたあと。アルバートは呆けていた。いくらなんでもあのタイミングではああするしかなかった。が周りに仲間がいる状態で明かしてしまっては…。
「アルバートさんはもっと年上の成熟した女性が好みだと思ってましたよ。」
キーウィがニヤニヤしながらつついてくる。アルバートは煩わしそうに手で払うが、今彼はおちょくりたくてしょうがないみたいだ。
「や、俺、流石に巫女様はないかなと思ってたんですけどね。若すぎるし、まだ子どもだし。アルバートさん経験豊富そうなのに、なんていうか、ああいう子が好みだったとは。」
体つきは結構いいだのオーギなどがそばにいたら張り倒されかねないセクハラ発言をするキーウィ。しかし、そんな理由じゃねえとムキになって返すとより純真っぽい。
(…はあ。)
キーウィを完全に無視することに決めていた。興味なさそうに柱にもたれ、天井を見上げてボウっとしている。
「あ、アルバートさんぐらいだとアレですか?一周回って結局乙女っぽい女の子のほうがいいとか…?でも年、結構離れてません?」
人の惚れたはれたはだいぶ好きな話題のようで、いつになく興奮して無視されてるにもかかわらず話が止まることがない。
(でもたしかにこいつの言うとおり…。)
なぜ彼女の写真を見ただけで惚れたのかはわからなかった。
「一目惚れって言ってましたけど、一目惚れに理由はありませんからね!」
と経験のないキーウィが知ったような口を聞くが、今までの女性関係から考えて、ルリは特別な存在であった。
「これぞ運命の恋、ってやつですかねえ!」
(そんなもんあるかよ…)
相手を好きになるなんて自分の条件にどのぐらい合うか、適合度の問題だ。該当項目が多ければ多いほど相手を狙う価値がある。
(…ルリだってそうに違いない。)
きっとそうだ、と決めつけてアルバートは腕を組んだ。