まだ少しだけ観ていきたい…の7
自由時間。アルバートがのびてしまったので仕方なく増設された時間である。
ルリの真横で目を光らせるフリティアの、その横を通るのすら一般人は恐ろしく、大きな弧を描いてフリティアから離れて歩く。
「ティアったら、何をそんなに警戒しているのです?」
「やつが目覚めて不用意に近づかないか見張っているのです。」
アルバートの姿を見た瞬間かじりつきそうなぐらい荒れている。
「そんなに睨まれるとみんな怖がってしまいます。」
「ふふふ、望むところですわ。」
「いえ、そうでなくて…」
不敵に笑う時折出るフリティアの品の良さそうな言葉づかいと粗野な言葉づかいのせいで、彼女の出自が皆目検討もつかない。
「…あの、ティア。なぜそこまで怒っているのです?」
「納得いかないからです。」
それと聞くとハッとしてルリもうなずく。
この街の外れの方まで二人で海を横に眺めながらのんびり歩いてきた。東側の展望台で立ち止まると、柵に肘をかけて頬杖をつく。
「…確かに。私も納得していません。」
海に向かってポツリとつぶやいた主の返答に表情が明るくなるフリティア。怒りで乱れていた服を整えいつもの上品な立ち姿に戻る。怒りで乱れていた
「…ふふ、心配の必要もございませんでしたか。やはりルリ様は聡明で…」
「ああいう告白は納得できません。」
「…ん?」
ルリは口を尖らせた。
「なんていうか、告白っていうのは嬉しいときにするものであって」
ルリは海で跳ねる光の眩しさに目を細める。
「謝る流れでするものではないですよね。」
パンパンと袖についた砂利を払った。
「ということで、アルのあれは私の中ではノーカウントです。だからティア。私は聞かなかったことにするので、もう怒るのはやめてください。」
フリティアはぽかんと口を開けていた。