うっかり敵にさらわれる…の7
みんなのところに戻る、とルリは言った。だがそれを許してくれるほどレンリたち謎の集団は優しくはない。
「信じたくない気持ちもわかりますが、彼らのほうが嘘をついているのです。」
紫のローブの下からルリを諌める声が聞こえる。
「嘘?」
「はい。」
ルリはもう一度ふるふると首を振った。
「たとえ嘘をついていたとしても世界を救うこの旅の目的は変わっていません。嘘をつくと何かいいことがあるんですか?」
正直に過ごしているルリにとって困るようなことは、アルバートたち護衛からは全くされていない。
「騙されているのです。それら全て、巫女様を欺く罠。」
「なんで彼らが嘘をついていて、私が騙されているということがわかるんですか?レンリ先生、皆さんは何を知っているんです?」
沈黙を保っていたレンリが、ルリの問に慌てていた紫の集団を制しルリの方に体を向ける。
「言葉足らずでしたな。巫女様。失礼をいたしました。」
丁寧に腰を折り、深く反省した様子で詫びた。
「御身をお守りしながら四つの神殿を回った時、あなた様の抱く願いが神々に届き、叶えられるわけです。」
ルリはうなずく。
「我々は混迷の世を正したい、その願いを巫女様にお伝えするためにお探ししていたわけですが、どういうわけかその情報がオパリシアの協会に漏れていました。」
「私が使命を授かったのがそのオパリシアの協会です。レンリ先生、どういうことなんです。」
レンリはルリを諭すように優しく語りかけた。
「無理もありません。一つ一つお教えいたしますのでお聞きください。」