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スクセの巫女がチョロすぎて…  作者: アホイヨーソロー
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砂漠の中を彷徨い歩く…の5(終)

「荷物は捨てろ!」

 リューサの穴が突如アルバートたちの足元まで広がる。その突然の出来事に不意を突かれルリとレンリ以外の者たちは流れる砂に足をとられ溝の底へと引きずられ始めた。

「みんな!?」

 ルリはレンリからもらった靴の魔力により宙に浮き足をすくわれなくすむ。叫びながら先ほどまですぐ隣にいたフリティアに腕を伸ばす。だが、指先は寸でのところで空をきった。それでも負けじと前にのめりだしフリティアの手をつかもうとする。

「危ない!」

 レンリが咄嗟にルリの体を支える。

「あっ――!」

 その老人は悲鳴を上げて腕を引っ込めてのけ反った。ルリはその拍子に靴の魔力が切れすり鉢の砂の上に落ちてしまう。

「ルリ様!」

 一番彼女に近いフリティアが、滑り落ちる足腰を踏ん張り、せめてルリがそれ以上落ちないようにと体を伸ばす。

「ティア!ほかのみんなを!」

 うつ伏せのルリが顔を上げ視線の先にいる三人の男たちの危機をフリティアに知らせた。だがフリティアは応じない。

「ルリ様が先です!」

 有無を言わさぬフリティアの返答。抱えている斧を砂に無理やり突き立てながらルリの方まで登ろうとする。

 後方の三人、とりわけ重装備のキーウィは他の者よりも少し速めにすべっていく。オーギといえど以前川の真ん中で見せたような仁王立ちをする余裕もなく、せいぜい体を砂に食い込ませて落ちる速度を下げることぐらいしかできない。その中でアルバートは荷物を投げ捨て、手に短剣を構えていた。

「確かあれは、バケモンの目なんだよなぁ!?」

「アルバートさん、応戦しますか?!」

 のまれる前に戦うつもりのアルバートの気配を察してキーウィもあおむけで足から滑りながらも腰から剣を抜き構える。背負う槍は取り出すことができない。

「ふん!」

 オーギも上半身を起こし窮地を脱する方法を模索するより、戦いの準備を優先した。

「フリティア!ルリを頼むぞ!」

「言われなくても…!」

「ティア!?」

 このつかめるところの何もない砂の上を這いずりながらも、フリティアはすでにルリの元へとたどり着くことができていた。

「ルリ様、あの魔物の弱点などわかることなんでもいいので男どもに教えて差し上げてください!」

「はっ!はい!」

 ルリは異界の魔物をよく知っている。幼いころより祖母や母、先代の巫女たちから物語られてきた。リューサのことは当然知っている。あのぎょろッとした大きな目は驚くほど固い角膜でおおわれている。光が直接当たっても大丈夫なほど丈夫なレンズカバーなのである。

「そのむき出しの目は弱点ではありません!それに集中していると…っきゃあっ!」

 彼女の体に縄がまとわりついた。

「お嬢様!ご無事か!」

「レンリ先生?!」

 投げ縄なの用で、また何かの魔力の込められた紐である。ちょっとやそっとじゃ離れないほど頑丈な作りだ。

「引き揚げますぞ!」

 その声を合図にルリの体が再び宙へ浮く。

「あっ?!」

 フリティアは咄嗟に連れていかれるルリの腕をつかもうとした。だが、レンリの扱い慣れた魔法の縄はしなやかにたゆみ、フリティアを避けるように持ち主の元に引き寄せられる。

「レンリ先生、ありがとうございます!次はみんなをそれで…!」

 ルリが言い終わらぬうちにレンリは縄をほどかぬまま彼女を軽々と宙に浮かべる。

「えっ…」

「救世の巫女殿、あなたには我々とともに来てもらいますぞ。」

「まっ、待って…!みんな!」

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