砂漠の中を彷徨い歩く…の3
キャンプで落ち着き、一行は再び出発の準備をする。もらったマジックアイテムのフロストピースはというと、この熱い中普段通りに動けているのは間違いなくその効果が発揮されている証拠である。
「しかしまあ、ずいぶん遠そうですね。」
荷物を自分のバッグにつめたオーギが額の汗を拭う。
「聖域にいる魔物と戦わないだけマシだよ。」
「ええ、本当に。」
この世界に夜があるのかはわからない。ずっと昼が続くのだとしたら、できる限り戦闘に入りたくない。省エネ思考のアルバートと、皆を回復する必要のあるオーギはそのように考えていた。
丘の上を見るとしきりに砂が盛り上がったりして何かが砂の下をうごめいている。
「まあ明らかにいるんだけど…」
「敵意は感じませんから触らず通り過ぎるのがいいですね。」
「そういってるとキーウィあたりが触れそうだ
な。」
二人の会話が聞こえたのか、少し離れたところからキーウィが抗議する。
「信用ないですねえ、俺そこまで間の抜けたことしませんよ?」
しそうである。
頭でわかっててもふとしたときにやってしまうのだから間が抜けている、というのだ。
「皆さんそろそろ行きましょう!」
我らがリーダーの巫女様はすでに元気一杯である。体力がある方ではなかったはず。しかし無理をしている様子でもない。
「…毒味はしたんですけどね。」
フリティアが口を付近で拭いながら、オーギとアルバートに知らせる。どうやら目を離した好きに栄養剤をもらっていたらしい。さすがにそれはルリのそばを離れないでいたフリティアが先に口に含んだらしいが、おかしなところはなかったとのこと。
ルリの護衛たちが集まっているのを見て連理が寂しそうにつぶやく。
「…ははは、どうも皆さんに信用されてない様子ですな。」
「そんな、そんなことは!レンリ先生が正しい方だということは私が証明してみせます!」
ルリはフリティアたちのもとへ走っていった。
「ティア、アル、オーギ、キーウィ、行きましょう!私はこのとおり大丈夫です!」
両腕を広げてその元気な小柄な立ち姿をその場で回って全員にみせつける。
「レンリ先生は目指すところはまだまだ遠いとおっしゃっていました。ここはやっぱりみんなで協力しないと!」
危険なほどのめり込んでいる。アルバートはそう感じた。