表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スクセの巫女がチョロすぎて…  作者: アホイヨーソロー
108/211

砂漠の中を彷徨い歩く…の2

 まだまだはるか先の神殿と思しき建物を目指して。照りつける太陽にじわじわと体力を奪われ、さしもの屈強な戦士たちもどことなく動きがぎこちなくなってきていた。

「どこかで一旦休んだほうが。」

 流石にこのままでは戦闘に入ると危険だと判断し、オーギを筆頭に護衛たちはキャンプの準備を始める。ルリももちろんその案には酸性であったが、どういうわけかまだまだ彼女は元気である。

「ルリ様、お辛くありませんか?」

 水筒の水で湿らせたタオルをルリに捧げるように手渡しながらフリティアが巫女の状態を確認する。

「全然、です。ふふ、アルなんてだらしないですね。」

 日よけのタープを張り終え、その影で一休みしているアルバートにルリがニヤリと笑いかけれ。サラサラの砂に骨組みを設置するのがどれほど大変なことだか。

「なんて冗談ですよ。みなさんありがとうございます。これ、レンリ先生からおすそ分けしていただきました。」

 平べったい雪色のシートを人数分取り出した。

「冷却魔法によって中に入っているゲル状の何かが長時間冷たい状態を保っているらしいです。私は先にもらってたので、すみません。みんなにも早く渡せばよかった。」

 ルリがそのシートを一枚一枚一人ひとりに配って回った。

「それは『フロストピース』という私達が開発したものでして。これから、世界的に売り出そうと考えている新商品なんです。ちょうどモニター試験の段階だったのでよかった。」

 レンリは顎をなでて胸を張った。

「はい、アルも。」

 ルリがレンリの使いパシリのようにアルバートにシートを差し出す。

 少しの間があった。

 一瞬だけ、ルリの表情がこわばったが、その後すぐにアルバートが受け取ったので安心する。

「ありがとよ。」

 アルバートはそれをポケットにしまう。

「あっ、アル。それは頭とか、熱のこもりやすいところに乗せるといいですよ。」

「…そうか?」

 アルバートは素直にルリの言うことを聞いた。ちょんと一枚頭に乗せ、その上から帽子をかぶる。ルリもそれを見て満足そうであった。

「…ね、レンリ先生は悪い人じゃないでしょう?」

 屈託のない笑み。

 だがアルバートはそれに笑顔を返しただけであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ