砂漠の中を彷徨い歩く…の1
異界の太陽の下、列をなして彼方で揺らぐ神殿を目指す。後列のキーウィとアルバートが周りを警戒しながら進む。前方に何かが現れてもすぐに間に入れるようにフリティアがルリの横に必死に食らいつく。オーギは縦列のちょうど真ん中で周りのものの体調を気にしながら歩いていた。
「……アルバートさん。」
キーウィが小声で話しかけてくる。
「あの先が天神の神殿なんですか?」
「俺に聞くなよ…。」
「だとしたらなんでチャペルに天神の聖域が?」
「俺に聞くなって。」
本物のような太陽の熱さに対して、できるだけ体力を使いたくないアルバートはそっけない態度を取り続ける。
だがキーウィの言っていることはわかる。ここに案内したのもあの占い師だ。
「天神様はこの世界の天候を司るとともに商売繁盛の神様でしたよね。」
レンリはにこやかにルリの問に答える。
「ええ、よくお勉強なされている。」
こうしていると祖父と孫のようにも見えなくもない。
「様々な荷を積んだ大帆船の渡航には海神様の加護ももちろんですが、やはり天気も大事ですからな。」
うんうん、とすっかりレンリに心を許しているルリが頷いた。
フリティアが励ますためなのか、注意を引くためなのか問題なくルリの肩を叩いているのが見えた。