神の試練に果敢に挑む…の10(終)
ルリの前に即座に出てくる、フリティアとアルバート。後ろを固めるオーギ。二度目だがまた突然声をかけられて緊張のあまり挙動不審になるルリ。キーウィは間に入れずウロウロしている。
護衛の者たちの眼光の鋭さに少し驚いた様子だったが、すぐに占い師らしい落ち着きを取り戻してレンリは語りかけた。
「先程の解説、聞こえていました。実によく勉強をなさっている。」
「あっ、ありがとうございます!」
前に立つ二人の護衛の隙間からちらりと顔をのぞかせて褒められた礼を返した。
人だかりが一斉にこちらに移動してくる、と思いきや以外にもそこまで人が近づいてこない。街中に突然現れるのと、イベントの告知があった上にこのあたりの景色を楽しむつもりの人々も多い、有名人のことも気にはなるが特等席もおいそれと譲れないようだ。
レンリは地面に降り立つ。年齢を全く感じさせない軽やかな動きは、いい筋肉のお陰だとオーギは語っていた。
「そういうもんなのか…?」
「そうです、何事も筋肉ですよ筋肉。」
オーギは言葉に合わせて胸板をピクピクと動かしてみせた。体を鍛えている魔法使いのほうがメジャーなのだろうか。
「それで、おち…お嬢様。探しものは見つかりましたかね。」
「っ!!やはりわかるんですね!?」
「ほっほ、私は占い師ですからね。」
「す、すごい…。」
(…今のはカマかけられただけだぞ、ルリよ。)
ペテンに鋭いアルバートは直感した。
「よろしければ、その探しもの。私もお手伝いいたしましょうか?」
胸に手を当て丁寧に、まるで踊りに誘うようにルリを誘うレンリ。しかし、どういう形であれ自分たちの目的は知られてはいけない。すかさず前の二人が割って入った。
「結構!」
「えっ、えっ?どうしてです…?」
ルリは強く言い放つ二人に戸惑った。
「それは残念。私の占いはよく当たると評判なのですが…おそらく、私にはあなたがたの探しものも見通せておりますよ。」
「ち、違います!アル、謝ってください!渡りに船ではないですか!」
「変な言葉知ってんな…。」
「もう!いいから!」
ルリはいつもより強めにアルバートの背中を押した。
「ばっ!?」
そこがちょうど鎧のない部分であった。鎧は痛みを通さないが、服ごときでは簡単に貫通してしまう。
不意に襲われた痛みの衝撃でアルバートが前に盛大に倒れる。
「おや、まあ。」
レンリは笑顔を絶やさずにその姿を眺めていた。