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クールな彼と私、時々ライバル  作者: いちごぷりん
二人の出会い
1/10

喫茶《レモングラス》にて(1)

「わー、もう疲れたー……」


私、舞は喫茶店レモングラスという小さなお店を経営しています。バイトを雇える余裕もなく、一人で小さな店を切り盛りしている。


もともとはお母さんとお父さんのお店だった。

でも、二人が事故でなくなってからは私が一人で経営している。


そんな25歳、独身、彼氏なし。休日にはゲーム三昧なオタク系女子。隠れオタクってやつで、見た目は清楚系。店には花なんか置いちゃってる。(趣味じゃないのに)



今日は珍しくお客さんも多くて大忙し。

やっと、落ち着いたとカウンターのテーブルに頭をつけているとカランカランと昭和な音が鳴り響く。またお客さんだと顔を上げてみると……


「……はっ、い、いらっしゃいませ!」


思わず目を見張るようなイケメン。

今までに見たことのないような長身なイケメン。

爽やかさも兼ね備えつつ、クールな印象もあり……黒いコートがたまらなくワイルドさも秘めて……とそんなことを考えていたら見いってしまった、くそう。


「お好きな席にどうぞー」


と声をかけるとなぜかカウンターの私の前に座る彼。

心臓ばくばく。

今にも聞こえそうだ……だめだ、また見てしまった。彼を見ている、私!


「ご注文が決まりま……」


「コーヒー」


「は、はい、かしこまりました。コーヒーですね……ホットとあ……」


「ホット」


……全てやられた。食いぎみで注文された。

私は笑顔で対応してホットコーヒーを作り始める。


……静かだ。


彼の方をふと見てみるとこちらを見ていた。目があった。


すぐに逸らしてまたコーヒーを作り、彼に出す。



「お待たせいたしました、コーヒー、ホットです」



彼は無言で飲み続ける。


無言で……気まずい。


一人で来るお客さんがあまり居ないからか、戸惑ってしまう。



「会計」


「え、あ、はい!」



ホットコーヒーを一気に飲み干して来店して15分足らずで、会計。

そして帰っていった。

私の周りにはなかなか居ないタイプの彼の後ろ姿を見送る。


「ありがとうございましたー」



不思議な人。それが彼の印象。でも、イケメンだったなぁ……



その後ろではお皿が勝手に洗われていた。


まるで魔法のように勝手にスポンジが動き、お皿が動いていた。


「……あ、また洗い残しが……こら、スポンジ!しっかり!」



あー、もう。私の心の乱れがスポンジにも影響してるらしい。

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